人間開発報告書1996 「経済成長と人間開発」

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人間開発報告書1996 「経済成長と人間開発」

1996年8月15日

経済成長と人間開発は、長い間には歩みを共にするが、自動的につながりがあるわけではない。このことは単純な事実だが、忘れられていることが多い。「経済成長と人間開発(人間開発報告書1996)」は、経済成長と人間開発とのつながりが、非常に多くの国で、しかも非常に多くの人にとってうまく働かなかったことを示している。経済成長も人間開発の進展も、片方だけではいずれも持続しないと論じている。

本報告書では、経済成長は正しく扱わない限り、仕事はなくなり、雇用は創出せず、人々に発言の機会を与えず、無慈悲で、ふらふらとし、そして将来性がなく人間開発にとって好ましくないものになると主張している。したがって、貧困の削減と人間開発、およびその将来性に関し、経済成長の質は、その量と同様に重要なのである。

本報告書は、経済成長と人間開発のつながりは慎重に作られ、巧みで聡明な政策運営で定期的に強化する必要があると結論づけている。また、雇用は、経済成長の成果を人々の生活に転換するうえで重要であると認めている。しかし、それを実現するためには、新しい成長を開発し、21世紀に持ち込む飛鳥があるだろう。そして、弱者や傷つきやすい人たちも、拡大していく世界経済に参加していける新しいメカニズムを開発しなければならない。

本報告書には、ブラジルのフェルナンド・エンリケ・カルドーソ大統領、南アフリカのネルソン・マンデラ大統領、それに1989年のノーベル経済学賞受賞者であるロバートM.ソロウ教授の3氏の特別寄稿を掲載した。彼らは、21世紀に向け、どうすれば経済成長と人間開発の間に強いつながりをもたせることができるか、それぞれのビジョンを述べている。