人間開発報告書1997 「貧困と人間開発」

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人間開発報告書1997 「貧困と人間開発」

1997年11月17日

貧困を撲滅することは道義的な至上命題である。しかもそれは実際に実現可能なことである。これが「人間開発報告書1997」の最も重要なメッセージである。世界は次世代までに貧困のない世の中を創造しうるだけの資源と必要な知識を持っている。貧困撲滅はいい加減な観念論ではない。過去30年間に十数ヵ国以上の開発途上国が、絶対的貧困をなくすことができるだろうということを実証した。

1995年の世界社会開発サミットにおいて、ほとんどの国が絶対的貧困を撲滅しようと約束した。大国を含む多くの国が、この目標に向かって取り組みを開始している。

本報告書は、人間開発の視点からこのグローバルな挑戦を検証するものである。ここでいう貧困とは所得の問題だけではない。人間として我慢しうるまずまずの生活を送るための選択の幅や機会さえも否定されている現実を貧困ととらえ、そこにも焦点を合わせている。そのため、所得の問題にとどまらず、ジェンダー平等、貧困者重視の成長、グローバリゼーション、開発に関するガバナンス(統治)など重要な分野をとりあげ論じている。