人間開発報告書1998 「消費パターンと人間開発」

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人間開発報告書1998 「消費パターンと人間開発」

1998年12月1日

20世紀における世界の消費はこれまでにないペースで増大し、1998年には24兆ドルに達する勢いである。今世紀に達成された歴史的進歩のひとつにこうした消費拡大がある。今日消費者は本教育の豊かさを享受している。しかしながら、10億人以上の人々が消費の急激な拡大から依然取り残されている。また、消費の増加そのものが、不平等や環境への負担や競って消費に走る風潮が及ぼす社会への悪影響など、消費拡大に伴う問題を生み出している。グローバリゼーションによって、世界中の新興市場に新製品が流通し、新たな機会が創出されているが、同時に製品の安全と消費に関する必要性も高まりつつある。

このような動向は人間開発の展望に影を投げかけている。「人間開発報告書」1998年版では、より環境に優しく社会的に公平ですべての人々の基本的ニーズを満たせるような消費そして消費者の健康と安全を保障する消費パターンを創り出すため、われわれすべての人や国々が直面しているいくつもの課題について検討を行なっている。

今年の報告書には、ジョン・ケネス・ガルプレイス教授の特別寄稿が掲載されている。教授は40年前に「豊かな社会」と題した意味深い本で公共の貧しさの中にある個人の豊かさを描いた。今、再びこの問題をとりあげ、格差は縮まるどころかさらに広がったこと、そしてそれに加え、新たに民間の貧しさと環境の悪化を指摘している。