よくあるご質問:人間開発報告書2011とは

・2011年版人間開発報告書の中心をなすテーマはなにか?
2011年版人間開発報告書『持続可能性と公平性──より良い未来をすべての人に』は、長い目で見た環境保護と社会的な平等性拡大との間の切っても切れない関係に光を当てる。この数十年、ほとんどの低所得国で人間開発が目覚ましく前進したが、環境上のリスクと社会の不平等を緩和するための思い切った措置を取らなければ、21世紀半ばまでにその進歩のペースが減速し、ことによれば進歩が止まる恐れがあると、本報告書は結論づけている。その一方、本報告書は、国レベルでの好ましい政策モデルを多数紹介しており、国や国際社会が環境の持続可能性と社会の公平性とを同時に向上させる手立てを見いだすうえで参考になるだろう。本報告書の主たるメッセージをひとことで言えば、人間開発の歩みを継続するに当たっては、環境の持続可能性と公平性の両方を実現しなくてはならない、ということになる。この2つの要素を両立させることができなければ、片方を成し遂げることもできないからである。

・持続可能性と公平性の関係はどのようなものなのか?報告書では、環境劣化と人間開発と社会的不公平の3者の関連性を示しているのか?
本報告書では、世界の最も恵まれない層のうち、どれだけの人たちが欠乏の「二重の重荷」を背負っているかを記している。そのような人たちは、異常気象、かんばつ、海水面上昇など、長期のグローバルな環境問題により、ことのほか大きなリスクにさらされているうえに、屋内の空気汚染、水質汚濁、劣悪な衛生環境など、身近な環境問題にも悩まされている。水質汚染もしくは大気汚染と直接関係のある予防可能な病気が原因で、5歳未満の子どもが世界で毎年約300万人命を落としている。そのほとんどは、アフリカと南アジアの子どもたちである。

そのうえ、世界の国々の非都市部で暮らしている貧困層は、生計を立てるうえで、健全な森林、農地、海洋に大きく依存しているケースが多い。これらの重要な資源そのものが減少したり、その生産力が減退したりすれば、その種の資源に最も大きく依存している人たちの生活が脅かされる。また、そのような事態がもし現実になれば、食糧価格がますます上昇し、さらに多くの人たちが食糧を購入できなくなり、世界規模での飢餓撲滅の歩みが損なわれかねない。本報告書の予測によると、深刻なグローバル規模での環境リスクと社会的不平等の拡大を放置し続ければ、世界の人口の過半数を占める貧困層がこの数十年にわたって成し遂げてきた進歩が減速しかねず、もしかすると、世界の国々の間で人間開発の達成度のギャップが狭まってきたトレンドが退行する恐れもある。そのうえ、深刻な社会的不公平が原因で、グローバルなレベルと国レベルの双方において、貧しい国々やコミュニティが政策立案と環境関連の行動指針の決定過程で相応の発言力をもつことが妨げられてしまう。

・ジェンダーの問題と政治参加の問題は、持続可能性とどのような関係にあるのか?
本報告書では、力の不均衡が甚だしい状況は、貧しい国々やコミュニティの環境面での客観的状態に影響を及ぼし、また、グローバルなレベルと国レベルの政策論議を形づくると主張している。国レベルで言うと、力の不均衡とジェンダーの不平等は、改善された水源と衛生施設の不備、土壌の劣化、屋内と屋外の空気汚染による死亡を生む原因となり、所得格差がつくり出す弊害を増幅させていると、本報告書は分析している。ジェンダーの不平等は環境面の状況と相互に作用し合い、その結果、さらに環境を悪化させる。一方、グローバルなレベルでは、さまざまな国際機関・制度などの仕組みにおいて、途上国や辺縁化されている人々の声が十分に反映されていないケースが多い。

・低所得国の開発を加速させると、環境に害が及ぶことはないのか?
すべての途上国には人間開発のレベルを向上させる権利があり、その目標は環境を危険にさらすことなく達成可能であって、実際にそのような形で達成すべきであると、本報告書は強く主張している。人間開発の視点に立てば、化石燃料を原動力とする経済成長は、人々の生活を改善するうえでの必須条件ではない。再生可能エネルギー、水、衛生環境へのアクセス、さらにはリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)に関する公平性を改善するために投資をおこなえば、持続可能性と人間開発の両方を向上させられる可能性がある。市民社会の活発な関わりや独立性のあるメディアなどを通じて、政府の説明責任と民主的プロセスを強化することも、政策の成果を高めるうえで有効である。

・環境上のリスクが高まると、多くの低所得国で開発の進展が減速したり、停止したりする恐れがあると、報告書は指摘している。そのような現象は、どういう場合に、どのようにして起きるのか?
本報告書作成のために実施したコンピュータ・シミュレーションによれば、明らかに現実離れしたシナリオであるが、向こう40年間でグローバルな環境破壊にこれ以上拍車がかからないと仮定した場合、人間開発の達成度を表す人間開発指数(HDI)の世界平均値は、2050年の時点で現在より19%高くなる。この「基準値」のシナリオが実現した場合に人間開発の改善度が最も高いのは、途上国地域である。サハラ以南アフリカでは44%、南アジアでは36%、HDIの値が上昇する。

しかし、これよりもありそうな、地球温暖化がもたらす農業、水、食糧、衛生環境、環境汚染への影響といったものを想定した「環境上の課題」の実現と不平等の拡大を前提にすると、2050年のHDI世界平均値は、現在より11%しか上昇しない。上昇率は、基準値のシナリオより8%低いことになる。南アジアとサハラ以南アフリカでは、HDI値の上昇率が基準値のシナリオより12%低くなる。環境上の課題のシナリオよりさらに深刻な森林破壊や土壌劣化の深刻化を想定した「環境災害」と不平等のさらなる深刻化を前提にすると、HDIの世界平均値は基準値のシナリオを15%下回る。2050年のHDI値が基準値のシナリオを下回る度合いがとくに大きい地域は、サハラ以南アフリカ(マイナス24%)と南アジア(マイナス22%)である。

・2011年版人間開発報告書は、2012年6月の「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」や、そのほかの環境と持続可能性に関する国際的取組みに、どのように貢献するのか?
ミレニアム開発目標(MDGs)の目標期間が2015年に満了した後も、世界は公平性と持続可能性を促進するための開発の枠組みを必要としている。2012年6月の「リオ+20」は、今後の進むべき道について国際社会が共通の理解に達するための新たな機会になりうる。本報告書は、公平性と長期的な人間開発の進歩を全面的に考慮に入れたうえで、しかるべき法的・政治的な改革などのグローバルな持続可能性政策を採用すべきだと主張している。そのなかには、グリーン・エコノミー政策の分配効果の側面をこれまでより体系的に考慮すること、きれいで安全な環境で暮らす権利を法的強制力のある権利として認めること、そして、政策決定者に説明責任を果たさせ、政策決定に参加する国民の層を拡大するためのメカニズムを導入することなどが含まれる。国内の地方レベル、国レベル、グローバルなレベルにおいて、貧しい個人と国々が政策決定に対してもっと発言力を行使できるようにすることは、向こう数十年間に開発の公平性と持続可能性の両方を高めるために不可欠である。

・本報告書では、「エナジー・フォー・オール(すべての人にエネルギーを)」というグローバルな計画を提唱している。それはどういう計画なのか?そのための予算を確保することは可能なのか?
本報告書は、国連が打ち出した「エナジー・フォー・オール」計画が人間開発の促進に役立つものであり、資金面でも実行可能であることを説得力豊かに論じている。この提案は、現在電力を利用できない15億人に電力サービスを提供するというきわめて野心的なものである。もしこれが実現すれば、ただちに世帯レベルで恩恵を受けられる。薪を集めて燃やさなくても、水を温められるようになることは、その恩恵の1つである。調理のために薪を燃やすと、重大な健康上のリスクが生まれる場合があるからである。本報告書の試算では、家の中で煙を吸い込むことが原因で死亡する人は、世界で年間200万人に達する。そのほとんどは、アフリカと南アジアの人々である。しかも、薪を燃やす行為はグローバルな環境にも害を及ぼす。二酸化炭素を排出するうえ、森林伐採の原因になるからである。アジアの森林が生産する木材の70%、アフリカの森林が生産する木材の90%は、調理と暖房のために燃やされている。「エナジー・フォー・オール」計画は、環境を改善するうえで有意義なばかりでなく、資金面での実行可能性もある。本報告書の試算によれば、世界の15億人に電力を供給するために必要とされる予算は、現在世界の国々で化石燃料に対する補助金として拠出されている総額のおよそ8分の1にすぎない。しかも、既存のクリーンテクノロジーによって実施することが可能で、地球全体での二酸化炭素排出量を1%たりとも増やさない。

・報告書では、世界全体として、とくに低所得国における開発の持続可能性を高めるための資金を用意する必要性を訴えている。その資金は、どうやって調達するのか?
環境面および社会面における保護など、人間開発を継続するために必要とされる資金は、向こう数十年の間に、現在の政府開発援助(ODA)の総額の何倍にも拡大する。たとえば低炭素技術への投資額は、必要とされる金額の最小の試算値と比べてもわずか1.6%にとどまっている。気候変動への適応と緩和のための投資は、必要とされる金額試算値の11%でしかない。資金を確保するためには民間部門の投資が欠かせないが、それを補完し、その呼び水とするために公的投資が必要とされる。本報告書では、新たな資金源の1つとして、通貨取引税を提案している。2008年の世界金融危機を機に、そのような税を徴収するための技術的な基盤も整備されている。きわめて低い税率で通貨取引に課税するだけでも、莫大な金額の税収を得ることができる。本報告書の試算によれば、民間の国際通貨取引に0.005%の税を課せば、年間におよそ400億ドルの税収を得られる可能性がある。経済協力開発機構(OECD)加盟国が毎年拠出しているODAの総額が1300億ドルであることを考えれば、これは大きな金額と言っていい。先進国と途上国の政府、有力なエコノミストの間で、普遍的な通貨取引税の導入を主張する声も高まっている。市民活動家のなかには、この種の税を「ロビン・フッド税」と呼ぶ人たちもいる。国際的な外国為替市場に及ぼす影響は最小限に抑えられるが、低所得の国々とコミュニティが必要とする資金をかなりの金額、将来にわたって供給できると、推進派の論者は主張している。

本報告書では、このほかにも、資金を増やす手立てを提案している。「クリーンテクノロジー基金」や「戦略気候基金」など、既存のメカニズムを活用することも、そのなかに含まれる。この2つの基金は、これまでに環境関連の援助資金を37億ドル調達しており、さらに多くの資金を調達することができるかもしれない。

環境上の脅威やその他の開発上のニーズに対処するための資金確保を訴えるだけでなく、本報告書は、「公平性と発言力を高める」ためにグローバルなガバナンスのあり方を改革する必要性も主張している。資金は、持続可能性と公平性の欠如に関する深刻な課題に対処するために活用されるべきであり、その過程で既存の格差を拡大させることがあってはならないと、本報告書は主張する。この目的を成し遂げるためには、すべての人に安全でクリーンなエネルギーを提供するための資金調達メカニズムを改善し、気候変動を緩和し、テクノロジーのイノベーションの創出と普及を推進し、飲用水へのアクセスと基礎的な衛生施設を確保し、貧しい人々とコミュニティのための社会的保護を保障することが必要である。

人間開発報告書──その起源と目的

・人間開発報告書は、どのような経緯で創刊されたのか?どのような目的で発行されているのか?

人間開発報告書は1990年以降毎年、国連開発計画(UNDP)の委嘱により作成され、UNDPにより発行されている刊行物であり、開発に関する論点、トレンド、成果、政策について、独立した立場で、データに基づいた分析を提供している。人間開発報告書の究極的な目標は、人間開発の進展を後押しすることである。それはすなわち、経済成長だけでなく、保健、教育、そして人間の自由と能力の拡大も成長と同等に重視することを意味する。「人々はまさに国家の宝である」と、1990年の人間開発報告書創刊版は冒頭の一文で謳った。本年度の人間開発報告書もその伝統にのっとり、公平性と持続可能性という相互に結びついた課題を人間開発の視点から論じている。各年版の人間開発報告書と関連の背景資料は、本報告書のウェブサイトhdr.undp.orgで入手することができる。このサイトでは、10の言語で報告書またはその概要文書を公開しているほか、電子書籍版の報告書、人間開発研究論文、さらに、新たな情報に更新された統計指数、データ視覚化ツール、双方向型の地図、および国連全加盟国の国別データを用意している。

・人間開発の理念とはなにか?その理念は、どのように報告書の指針をなしているのか?
人間開発のアプローチの土台をなすのは、1990年の人間開発報告書創刊版で主筆を務めたマブーブル・ハックと、報告書の基本理念、および報告書のトレードマークとなっている人間開発指数(HDI)を立案するうえでハックに助言し支援したノーベル経済学賞受賞者のアマルティア・センが先鞭をつけた開発思想である。人間開発の目標は、人々が健康に生き、知識を増やし、人間らしい生活水準を享受できるようにすることを含め、「人々の選択肢を拡大する」ことであると、1990年の人間開発報告書創刊版は述べている。もっとも、人間開発と人々の幸福はこれらの側面だけにとどまるものではなく、政治的自由や人権など、もっと幅広い諸能力をも含むものであると、同創刊版は指摘している。各国の政府、市民社会、研究者、メディアが人間開発報告書の創刊を熱烈に歓迎したことに、この報告書の画期的なアプローチが開発コミュニティやさらに広範な世界で大きな共感を呼ぶものであることがよく表れている。

・人間開発報告書はUNDPの総裁によって承認され、世界中の国連事務所によって発表されているにもかかわらず、UNDPと国連から「独立」しているとは、どういうことなのか?

1990年の創刊以来、人間開発報告書は一貫して、知的な面でも編集の面でも独立した著作物であり続けており、常にデータに基づく調査に立脚しつつ、しばしば固定観念に疑問を投げかけてきた。人間開発報告書は、UNDPの委嘱を受けて作成されるが、国連の方針を反映しているわけではなく、UNDPの理事会や上層部の公式な見解を反映しているわけでもない。人間開発報告書は、国連やその他のさまざまな多国籍機関の統計を土台にしているが、分析と結論はすべて報告書執筆陣によるものであり、文責はすべて執筆陣にある。報告書の編集上の独立性は、国連総会特別決議(A/RES/57/264)によって保護されている。この決議は、人間開発報告書を「独立した知的な試み」であり、「世界中で人間開発に関する意識を高めるための重要な手立て」であると謳っている。

・人間開発報告書は、開発の進捗に貢献してきたのか?
人間開発報告書は、豊富なデータを盛り込み、開発成果の測定に関する革新的なアプローチを採用し、世界の開発論議に大きな影響を及ぼしてきた。議論のきっかけをつくり、議論の材料を提供し、のちに広く受け入れられることになる考え方に先鞭をつけてきたのである。たとえば、ミレニアム開発目標(MDGs)の起源の一端は、開発のための資金調達に関する1991年版人間開発報告書の記述にさかのぼる。1994年版人間開発報告書でテーマとして取り上げた「人間の安全保障」という概念は、その後の開発論議に強い影響を与えた。人間開発報告書は、早い段階から持続可能性の重要性も強調し続けてきた。1990年の人間開発報告書創刊版は、オゾン層の破壊や都市の大気汚染などの環境上の危険にすでに警鐘を鳴らしていた。1994年版人間開発報告書では、経済成長を自己目的化せず、人間を最優先にした人間開発のアプローチを取る場合に、持続可能な開発が極めて重要であることを指摘した。2007/08年版人間開発報告書は、気候変動が世界の貧困層に及ぼす影響をテーマに取り上げた。2011年版人間開発報告書は、このような遺産の上に、グローバルとローカルなレベルの両方で、持続可能性と公平性を同時に高めることを可能とする政策を指し示している。

・年1回刊行されているグローバルな人間開発報告書と、アラブ人間開発報告書など多くの国別・地域別の人間開発報告書の関係は、どうなっているのか?
この20年間に、UNDP地域事務所の支援のもと、特定の地域に光を当てて、独立して編集・刊行された人間開発報告書は、40点以上に上る。これらの報告書は、しばしば論争的な分析と政策提言を盛り込み、アラブ諸国における市民的自由と女性のエンパワーメント、アジア・太平洋地域における汚職、中央ヨーロッパにおけるロマ人などのマイノリティの処遇、ラテンアメリカにおける公平性を欠く富の分配といった重要なテーマを検討している。知的な独立性、および人間を最優先にする人間開発の視点というグローバルな人間開発報告書の伝統は、一連の地域別の人間開発報告書にも受け継がれている。

これに加えて、多くの国別の人間開発報告書がUNDPの支援のもと、その国の編集チームによって作成されている。その数は、現在までに140か国に関して650点以上に上る。これらの国別報告書は、地元主導の運営により調査をおこない、必要な助言を得たうえで、国レベルの政策上のテーマに人間開発の視点を持ち込んでいる。不平等を浮き彫りにし、進歩を測定し、潜在的な対立の兆しを早期に見出す一助として、多くの場合、ジェンダー、民族、都市と農村の亀裂などの問題に光を当てている。国別報告書は、国単位のニーズと視点に立脚しているので、ミレニアム開発目標(MDGs)やその他の人間開発上の優先課題を達成するための戦略などに関して政府の政策に強い影響を及ぼしたケースも多かった。国別・地域別の人間開発報告書について、さらに詳しくは、こちらのウェブサイト(英語)を参照。

人間開発指数とデータ

・人間開発指数(HDI)とはなにか?

人間開発指数(HDI)は、人間開発の達成度を測る簡便な指標である。健康で長生きできるかどうか(保健の側面)、知識を獲得する機会を得られるかどうか(教育の側面)、そして、経済的な面で人間らしい生活を送れるかどうか(所得の側面)といった人間開発の3つの側面における一国の平均達成度を数値化する。どれだけの国のHDI値を算出できるかは、データがどの程度入手できるかによって決まる。国家間比較の便宜を考えて、HDIの算出に当たっては極力、執筆時点における主だった国際的な統計作成機関の資料やその他の信頼できる資料を用いた。

・2011年版では、HDIの算出対象国が2010年版に比べて大幅に増えている。それは、なぜなのか?
2011年版でHDIを算出した国・地域の数は過去最多の187か国・地域に上り、2010年版の169か国・地域に比べて18か国・地域増えている。このように算出対象国が大幅に増加したのは、UNDPの人間開発報告書室が国際的な統計作成機関や各国の統計官庁との協力を強化し、一部の国でそれまで入手できなかった開発上の指数を入手することが可能になったためである。2011年版人間開発報告書に記したHDIやその他の指数の値と算出方法について、詳しくはHDI、不平等調整済み人間開発指数(IHDI)、ジェンダー不平等指数(GII)、多次元貧困指数(MPI)に関するQ&Aシートを参照。

・不平等調整済み人間開発指数(IHDI)とはなにか?
不平等調整済み人間開発指数(IHDI)は、人間開発の3つの側面のそれぞれに関して、社会の中での分配の不平等の度合いをもとに、HDIの値に修正を加えた指標である。不平等の深刻さに応じて、HDIの各側面の値を「割引く」のである。社会の中に不平等がまったく存在しなければ、IHDIの値はHDIの値と等しいが、不平等が深刻になるほど、IHDIの値がHDIの値に比べて小さくなっていく。その意味で、HDIは、不平等が存在しない場合に達成可能な人間開発の「潜在的な可能性」(最大値と言ってもいいだろう)を示す指標であり、IHDIは、不平等を考慮に入れた場合の人間開発の「現実の達成度」を示す指標と言うことができる。不平等が原因で人間開発の潜在的可能性がそこなわれている度合いは、HDIとIHDIの値の差(単位はパーセント)で表現される。

・ジェンダー不平等指数(GII)とはなにか?
ジェンダー不平等指数(GII)は、十分な質のデータが手に入る国に関して、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)、エンパワーメント、労働市場への参加の3つの側面で女性がどの程度不利な状況に置かれているかを表す指標である。この3つの側面における男女格差によって人間開発の達成度がどのくらいそこなわれているかが表される。男女が完全に平等な場合は数値が0、すべての側面で男女の不平等が最大限に深刻な場合は数値が1となる。

・多次元貧困指数(MPI)とはなにか?

多次元貧困指数(MPI)は、個人のレベルで、保健、教育、所得の複数の側面における貧困状態がどの程度重なり合っているかに光を当てる指標である。この指数は世帯調査のミクロなデータを用いており、IHDIと違って、指数を構成するデータはすべて同一の調査から取っている。MPIの算出に当たっては、世帯が直面している貧困形態の数を基準に、その世帯の構成員1人ひとりを多次元貧困者、もしくは非多次元貧困者にカウントし、そのデータを集計して、国全体の多次元貧困の度合いを割り出す。

・人間開発報告書では、どのような統計が用いられているのか?
人間開発報告書では、2つのタイプの統計的な情報を紹介している。1つは、指数および統計表に記した統計データで、人間開発の諸側面における国ごとの達成度をグローバルに評価したものであり、もう1つは、本文の議論のなかで論拠として言及する統計データで、こちらには国際的なデータも、国レベルのデータも、国内の地方や集団レベルのデータも含まれる。2011年版人間開発報告書のオンラインデータベースには、書籍版で記したすべての指数について完全な時系列データを掲載してある。

・人間開発報告書の統計表に記載されているデータの出典はなにか?

UNDPの人間開発報告書室は、基本的に統計の利用者であり、制作者ではない。人間開発報告書では、国際比較と時系列比較を可能にするために、特定の指数に関するデータの収集と編纂をおこなう使命を担い、そのための手立てと経験をもっている国際的な統計作成機関のデータを用いている(さらに詳しい情報については、主要な統計機関に照会することを勧める)。指数の表で用いたすべてのデータの出典は、それぞれの表の欄外に簡略化した方式で列挙した。ある統計機関が別の機関からデータを収集した場合は、両方の機関の名前を挙げた。また、ある統計機関が別の機関の統計を引用している場合は、1次的な出典のみを記した。人間開発報告書では、人間開発報告書室が用いたデータ構成要素の出典を示すことにより、読者が指数の計算を容易に再現できるようにしている。

・2011年版人間開発報告書のそのほかの箇所で用いられているデータの出典はなにか?
報告書の本文で言及した統計データの多くは、巻末の統計表から引用している。しかしそれ以外にも、本報告書のために委託した調査の報告書、各国政府機関の資料、国単位の人間開発報告書、非政府機関の報告書、学術誌の論文やその他の学術文献などの統計も引用した。公式なデータを優先に利用しているが、最先端のテーマを取り上げている関係上、公的なデータが存在せず、公的機関以外のデータを用いざるをえないケースもあった。それでも、UNDP人間開発報告書室は、学術的・科学的調査によって収集されたデータを使用し、データの出典の選択およびデータの分析を中立なものにするよう努めている。

報告書本文中のBOXおよび表で、本報告書の指数の表以外のデータを用いている場合は、当該のページに出典を簡略化した表記で表示したうえで、巻末の参考文献一覧を参照すれば完全な書誌情報を確認できるようにした。また、巻末の注釈ページに各章の本文中のデータの出典を簡略化した表記で示し、統計表コーナーの末尾に、指数の表以外の統計情報の出典を列挙した。

・人間開発報告書における国や地域の分類は、どのように決めているのか?
2011年版人間開発報告書は、世界の国々をHDIの順位に応じて4つのグループに分類している。HDI最高位国、高位国、中位国、低位国である。それぞれのグループに、HDI算出対象国(2011年の場合は187の国と地域)を25%ずつ割り振った。また、途上国は、UNDP地域事務所の所管地区の区分けに準拠して、アラブ諸国、アジア・太平洋諸国、欧州・中央アジア、ラテンアメリカ・カリブ海諸国、サハラ以南アフリカの各地域に分類した(統計作成上は、アジア・太平洋諸国を南アジアと東アジア・太平洋諸国の2つのグループにさらに分割した)。

・人間開発報告書には、ミレニアム開発目標(MDGs)に関するデータも含まれているのか?
ミレニアム開発目標(MDGs)は、2000年9月の国連ミレニアム・サミットで採択された「国連ミレニアム宣言」をもとにまとめられた一連の目標で、数字で評価することが可能で、かつ目標の達成期限を設定してあることが特徴である。人間開発報告書では、MDGsでも採用されている指数のいくつかを統計表に取り入れているが、MDGsの達成状況そのものに言及することはしていない。国連統計局の「ミレニアム指数データベース」は、MDGsに関する国連の主要なデータソースで、MDGs達成に向けた進捗状況に関する国連事務総長の報告書、人間開発報告書や世界銀行「世界開発指数」など、毎年発行されている報告書のために、最新の統計データを提供している。国連統計局や世界銀行、および国連合同エイズ計画(UNAIDS)、国連教育科学文化機関(UNESCO)統計局、国連児童基金(UNICEF)、世界保健機関(WHO)など国際的な統計作成機関の統計を参照することにより、人間開発報告書にMDGsに関する最新のデータを取り入れることが可能となっている。MDGsに関するデータは、以下で入手することができる可能である。

・ミレニアム開発目標(日本語)
・ミレニアム開発目標モニター(英語)

・ミレニアム開発目標指標(英語)

UNDP 各国事務所(英語)

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ガイアナ

カザフスタン

ガボン

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