Afri Converse #12の登壇者

 

アフリカ開発会議 (Tokyo International Conference on African Development: TICAD)は25周年の節目を迎え、2019年8月28日~30日には横浜で第7回目の首脳会議が行われます。これに先駆け、UNDP駐日代表事務所ではアフリカ開発について語る対話シリーズとして、2018年6月末に「AFRI CONVERSE」を立ち上げました。

6月28日(金)に開催した「AFRI CONVERSE」の第12回目では、外務省アフリカ部・国際協力局参事官/TICAD担当大使の紀谷昌彦氏、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金 (GHIT) CEO兼専務理事の大浦佳世理氏、世界保健機関 (WHO) 健康危機プログラム・シニアサイエンスアドバイザーの進藤奈邦子氏、長崎大学熱帯医学研究所教授の皆川昇氏、そしてモデレーターの長崎大学大学院 熱帯医学・グローバルヘルス研究科教授の金子聰氏を迎え、「UHC の達成に向けて:アフリカにおける感染症対策の展望」をテーマに、政府、大学、国際機関、民間企業、NGOから集まった約100名の日本・アフリカ諸国からの参加者が話し合い、活気溢れるイベントとなりました。

モデレーターを務めた金子聰氏は冒頭、今日におけるアフリカ諸国の課題の一つとして感染症が挙げられ、全ての人が基礎的な保健医療サービスを必要なときに経済的な不安なく受けられることを目指してユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成するためには感染症を制御する必要があるとし、本イベントにおけるディスカッションへの期待をもって開会しました。

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続いて、WHOの進藤奈邦子氏は、HIVやマラリア、顧みられない熱帯病(NTDs)を除いた急性疾患に焦点を当て、WHOの従来の取り組みや21世紀初頭に起きた事象、将来の展望について発表しました。

まず、2000年に子どもの予防接種プログラムの拡大に貢献するGAVIワクチンアライアンス、大規模な流行の際に専門家を派遣するシステムとしてのThe Global Outbreak Alert and Response Network (GOARN)が発足したところから感染症対策を紐解いて説明しました。ご自身が厚労省からの派遣でWHOにて勤務された後の2003年に、8,000人以上の方が感染し、東南アジアから世界に広まっていった重症急性呼吸器症候群(SARS)に対して、最前線で感染制御を担当されたお話や、2011年から2017年にかけて、世界では1,204もの感染症危機があった中で、アフリカ大陸でのケースが447にのぼったことを伝えました。

特に、2018年8月から続いているコンゴ民主共和国でのエボラ危機を例にとっての感染症対策の将来の展望について強調しました。進藤さんは、紛争を抱える国での保健課題解決には困難を伴うこと、病気は健康面での影響だけでなく経済的困難をもたらしてしまうこと、従来の感染症対策としてのワクチンや抗生物質の投与に加えて今後はコミュニティの住民にオーナーシップを与えて連携して対応をしていくコミュニティ・エンゲージメントの大切さを強く訴えました。

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続いて、25年間に渡ってマラリアについて研究を行ってきた皆川昇氏は、マラリア対策についてご自身の経験をもとに説明しました。マラリアは未だアフリカで非常に深刻な問題であることを前提に、その対策として『新しい技術』、『革新(イノベーション)』、『監視』の3つが重要であると指摘し中でも最も主要になるのは『革新』であると述べました。

残念ながらマラリア対策の有効なワクチンはまだ発明されていないこと、基本的な対策である薬や屋内残効性殺虫剤噴霧(IRS)は従来通り大切であるが、蚊帳とアライアンスはとても有効的でありマラリアをコントロールする上で重要であると説明。中でも、蚊帳の使用によりマラリアの感染率が改善したが、さらに革新的な防虫剤を練り込んで作った蚊帳や、それをさらに進化させた効果が実質5年以上続く住友化学のオリセットネット(R)のような長期残効型蚊帳の登場でマラリア対策が大きく進歩した経緯に触れました。しかし、アフリカの子どもたちは蚊帳の“上に”寝てしまい、蚊帳の“中で”寝ないという言った実際に適切に利用されていないことがあったため、その対策として部屋全体をカバーする蚊帳を導入することで感染率の低下に貢献したという事例も紹介しました。

また、マラリア対策の一つとして「エルニーニョ現象やラニーニャ現象を含む地球温暖化という課題も同様に考えていかなければならない」と述べ、ご自身の地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)研究プロジェクトに言及しました。これは近年の気候変動の影響により、これまでと異なった地域や規模で感染症の流行が発生する危険性に備え、気候変動予測モデルからマラリアなどの感染症流行予測モデルを開発し、効果的な感染症対策実施のための早期警戒システムの構築を目指すプロジェクトです。早期警戒システムにより流行予測情報が行政機関に提供されることで危険性の高い時期を知り、医薬品・診断キットの準備の早期対応を可能にし、将来的には罹患者数を減らすことを目指していると述べました。

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続いて、GHIT CEO兼専務理事の大浦佳世理氏も『イノベーション』が重要になると述べ、イノベーションを促進するメカニズムについて発表しました。

大浦氏は、マラリア、結核、NTDsなどの市場性の低い治療薬、ワクチン、診断ツールなどの新しい技術に対して投資を行う国際的な非営利組織で、グローバルな官民パートナーシップを通じて資金調達を行っているGHITについて説明しました。

また大浦氏は、がん分野については1億人の患者に対して年間5兆円の研究開発費が世界で費やされているのに対し、10億人以上にのぼるNTDs患者に対して年間1000億円以下の研究開発しか投じられていない現状について触れ、NTDs等の研究開発を推進する意義について強調しました。

「マラリア、結核といった病気にかかってしまうと患者の教育や就労の機会を奪うことになり貧困を助長する要因になってしまいます。感染症が引き起こす悪循環として患者は就学・就労が困難になり、それがやがて社会・経済活動の低下、損失になり、貧困につながります。こうした悪循環を断ち切り、人々が健康な生活を送り、豊かな国、社会を築くために新薬等の革新的な新しい医療技術を提供することが大切」と述べ、GHITの事業の意義と貢献について紹介しました。

また、GHITは、日本の卓越した科学技術や創薬技術を活かして、先進国と開発途上国間における健康格差是正に向けてイノベーションや知見をより直接的に活かすことができる、グローバルな医薬品開発研究の連携を促進していること、そしてGHITそのものが、日本政府と民間企業やビル・ゲイツ財団、ウェルカムトラストの出資による官民パートナーシップという革新的な存在であると説明しました。

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最後に、外務省のTICAD大使である紀谷昌彦氏は、TICAD7に向けては主にビジネス・開発と国際保健の担当をされており、GAVIワクチンアライアンスやグローバルファンド等の国際保健関連会議の日本政府代表の立場より、UHCの達成において感染症対策は欠かせない重要テーマだと強調しました。

紀谷氏は進藤氏、皆川氏、大浦氏が発表したこれまでの成果や達成内容について感銘を受けたこと、そしてそれらの達成内容をどのように現場で実装し持続可能にさせるかであるかが今後の課題であり、自身の役割であると述べました。そして、課題を解決するためにはコミュニケーションが非常に重要であること、今年は日本、そして国際保健にとって非常に重要な年であること、日本が大きなイニシアティブをとる契機として期待が高まっていることについて話しました。日本は TICAD と G20 双方における日本のリーダーシップを通じて、世界の最貧国の何百万人という人々の健康を改善するという使命の達成を目指しており、本年のG20大阪サミットや財務・保健大臣合同会合、夏のTICAD7、9月のニューヨークでのSDGサミットやUHCハイレベル会合、また来年の東京オリンピック・パラリンピックや成長のための栄養サミット2020などについて紹介しました。さらに,TICAD7ではGAVI ワクチンアライアンスの第3次増資準備会合が日本の主催で開催される予定であると述べました。
最後に紀谷氏は、2030年のUHC達成に向けて日本のやるべきことはアドボカシーの段階を終え、今後アフリカという現場でコミュニティ・エンゲージメントやイノベーション等のプログラムを実装し持続可能にする段階にあり,そのための戦略方法は次の3つであると述べました。

  1. (途上国)自国内による資金調達
  2. グローバルファンドやGAVIワクチンアライアンス等の主要国際機関間の国毎の連携推進、
  3. 保健関連事業の費用対効果を高めるための施策

特に3つ目の理由としては「人を治療することは高い費用がかかる」と述べ、少ない費用で貧しい国にUHCを達成させるためには『予防』、そして『イノベーション』が非常に必要であると強調しました。

 

 

参加者からは登壇者それぞれに対して、多くのコメントや質問が挙げられました。日本の参加者からは、一昔前では主な健康問題といえば感染症のみであったが現在では新しい病気が増加し人々は限られた予算でどのように対処するのかを真剣に考えるようになったため、こちらの感染症の分野で予算がどのように確保されるのかといった質問が挙げられました。また登壇者からは、参加者の若い世代に対してやUHCについてのメッセージも挙げられました。

今回の、「UHCの達成に向けて:アフリカにおける感染症対策の展望」セッションでは多くの保健に関心のある学生や専門家や市民の方々が参加し、活発な議論が行われました。

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