今年でアフリカ開発会議 (Tokyo International Conference on African Development: TICAD)は25周年の節目を迎え、2019年8月28日~30日には横浜で第7回目の首脳会議が行われます。これに先駆け、UNDP駐日代表事務所ではアフリカ開発について語る対話シリーズとして、2018年6月末に「AFRI CONVERSE」を立ち上げました。

2018年10月26日(金)に開催した「AFRI CONVERSE」の第5回目では、国際連合工業開発機関(UNIDO)アフリカ部長のヴィクター・ジェンバ氏、JICA国際協力専門員の内藤智之氏、若手起業家でNext Space創業者の牧浦土雅氏を迎え、アフリカにおけるSTI(科学技術イノベーション)の現状と展望について、政府関係者、学識者、国際機関、民間企業、アフリカからの留学生、市民社会から集まった約100名の参加者と協議しました。

冒頭ではジェンバ氏が、アフリカにおける産業化を加速化させるには様々なアクターによる技術・資金の提供が必要であることを強調。続いて内藤氏よりSTIという一単語で語られるが、ST(科学技術)はI(イノベーション)を支えるものであり、同列ではないというという説明がありました。内藤氏は、さらに、アフリカではM-PESA(モバイル決済システム)など広くアフリカ全域に広がっている成功例もあるが、アフリカにおいて同様の事例を輩出し課題解決に取り組むには、アフリカ各国の政府並びに国際援助機関を含む関係者による更なるコミットメントと投資が必要であると強調されました。代表的な事実として、科学技術分野における人口比研究者数の世界平均が1,038人/百万人に対して、アフリカでは91人に留まる点などが共有されました。

10代の頃からアフリカでの事業展開を手掛けている牧浦氏は、国連と協同し人工衛星による画像データ解析を通じて各地域の農作物の収穫量を細かく算出することで、市場取引の効率化を図り収穫後損失量を減らす事業について紹介。科学技術を用いて革新的な解決策を提供する事例として、多くの参加者が感銘を受けていました。

会場からは、ABEイニシアチブ生として日本に留学しているアフリカからの学生がアフリカにおいて科学技術の振興とイノベーション推進を図るには、前提条件として教育制度の改革が必要であるというコメントがありました。アフリカの多くの国では科学等を含む教育科目がすべて非ネイティブの言語で教えられるため、知識の習得が困難であることが挙げられました。また、アフリカでは教育課程で基礎的なITスキル(パソコンの取り扱いなど)を学ぶ機会が限られているため、社会に出てからもパソコンの入力前に手書きをする慣習が抜けないといった弊害が出ているといった個人的な事例も挙げられました。

別の参加者は、多くの農村地帯において基本的な電力供給がない状況において、如何にしてSTIを推進するのかという問題提起がありました。アフリカでは居住地域が分散しているため、STIの推進にはまず必要なインフラ整備、居住地域の整備が必要であるということが述べられました。また、農村の未電化地域では太陽光発電等のオフグリッド発電技術の適用も必要であるという意見がありました。

外務省TICAD担当大使の紀谷参事官からは「TICAD7に向けて牧浦氏のように精力的な若手起業家を100名輩出するにはどうしたら良いか?」との質問が会場に対して投げられ、登壇者と参加者からは「アフリカと日本を繋いだオープンイノベーションのプラットフォームを構築する必要性」と「イノベーティブなビジネスアイディアに対する資金提供を可能とするピッチコンテストの実施」が挙げられました。

今回のセッションでは、TICAD7に向けてアフリカでの起業とイノベーションの推進について機運が高まっていることが確認され、今後関係者間での協力への期待が寄せられました。

 

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