キャッシュ・フォー・ワーク参加後、ビディビディ難民居住区に食料品店を開いた南スーダン難民の女性たち(中央4名)と現地パートナー団体スタッフ(両端2名)。 Photo: Natsuki Matsumoto/UNDP
 

押し付けではなく、あと押しを

ー 今の仕事の内容を教えて頂けますか。
 

UNDPがウガンダで実施している南スーダン難民支援事業の、主に広報とモニタリングを担当しています。

ウガンダ事務所では、難民と地域の住民に対して公共事業を通じて一時的な雇用機会を提供する、「キャッシュ・フォー・ワーク」事業を行っています。難民居住区内の道の整備、ごみ捨て場の整備、植林活動など、公共事業の内容はコミュニティとの話し合いを通して決定します。参加者は約30日のキャッシュ・フォー・ワークの活動の対価として120ドルを受け取り、食料や衣類など、生きていくのにすぐに必要な出費に使うとともに、3分の1程度を貯金します。活動終了後、参加者は貯金を受け取って事業への参加を終了するか、小規模起業のためのビジネススキル研修を受け、貯金の3倍の金額を元手に起業するかを選択します。現在日本政府の支援で実施している事業では、さらにマーケットの創出や企業との連携を目指しています。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

将来を変えるきっかけを。難民居住区で暮らす、南スーダン女性の夢」(2018/3/8)

 

ー 仕事をしていて嬉しかったこと、やりがいを感じたケースを1つ教えて頂けますか。
 

前職では治安の関係で事業地には入れず遠隔で事業管理をする仕事をしていたので、ウガンダでは難民居住区に直接入って受益者の方からお話を聞けるのがうれしいです。現地で得た情報を事業改善に役立てられることにやりがいを感じます。

現在関わっているのは、緊急支援から持続性のある開発支援につなげるHumanitarian Development Nexusを体現するような事業なので、物資やお金を配るだけで終わりではなく、長い目で生活を見据えた支援に、UNDPらしい良さを感じています。広報として現場で取材する際も、大変ながらも未来への希望を感じる明るい話が多く、力をもらえます。

 

ー 現地の人々のUNDPに対する印象はどんなものでしょうか?現地の人々からのコメント等ありましたら教えて頂けますか。
 

先のウェブ記事でもご紹介した南スーダンからの避難民であるマグレットさんの、「自分ができること、やりたいことは分かっていたけど、難民になってからどうしたらそれが実現できるかが分からなかった。UNDPの事業に参加して得たお金で、夢をかなえられた」という言葉が心に残っています。彼女はキャッシュ・フォー・ワークの賃金の貯金から、南スーダンでも開いていたサンブサ(サモサ)屋をウガンダの難民居住区でオープンして、女手ひとつで家庭を切り盛りしています。

人生は人それぞれで、たとえ難民として故郷を離れたとしても、すべてを諦めるような状況があってはならないと思います。できること、やりたいことはみんなあります。あっても、状況が許さないだけなのです。UNDPのキャッシュ・フォー・ワークでは、労働としての対価として現金を支給することで、それぞれの参加者のお金の使い道に幅が生まれます。また、トレーニングを通して知識や技術を磨く機会も提供しています。決められた未来を押し付けるのではなく、自分で思い描く道を切り拓いていくための、ちょっとした工夫と手助けをこれからも続けていきたい、と心から思ったインタビューでした。

 

これからも難民支援に携わりたい

ー これまでどのようなキャリアを積まれてきましたか。何で国連またはUNDPに入られたのでしょうか。
 

難民・国内避難民など、強制移動の問題への関心をもとにキャリアを積んできました。大学院で国内避難民に関する論文に取り組む傍ら、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のジュネーブ本部で半年間インターンとして働きました。大学院修了後、日本生まれの国際NGOであるAAR Japan[難民を助ける会]に入職し、約6年間勤務しました。AARでは広報・啓発、本部での海外事業のバックアップ業務、駐在と、幅広い業務と地域に関わりました。

国連のことはインターン終了後も進路として気になってはいましたが、NGOでの仕事は大変やりがいがあり、転職する決意がつかずにいました。同時に、今後進む方向として広報か事業管理か、どちらが自分に向いているのか迷ってもいました。そんなときにロスター登録していたUNVからたまたまウガンダ事務所への声がかかり、契約が1年間と短期であること、気になっていた国連、かつ広報の仕事であることから、チャレンジしてみることにしました。

 

ー 今後どのような道に進まれる予定でしょうか。
 

未だに迷っていますが、卒業後ずっとおなじ団体にいたので、UNVでの活動を通じて、他の場所でもパフォーマンスを発揮できそうだと感じられたのは自信になりました。難民・国内避難民の問題から離れるつもりは今のところありません。自分と家族の心身の健康が保たれ、その上で一番貢献できる方法を考えながら、セクターと地域を選んでいけたらと思います。

 

未来に向けて進んでいこうとする強さ

ー アフリカの魅力、醍醐味を教えて頂けますか。
 

どんな状況でもひとが元気なこと。支援を待っているだけではなく、自分で未来に向けて進んでいこうとする強さを感じます。そのため事業期間中に住所や雇用状況などが変わる方も多く、事業管理では苦労する点もありますが、みんな人生があるので当然こうあるべきだと思うようになりました。また、私はアフリカ初心者なのですが、経験の長い方々から話を聞いていると、長く付き合っていくにつれて印象が変わるようなところもおもしろいなと感じています。

ー 最後に1つ、アフリカ(または赴任国)の好きなこと(食べ物や文化、国民性など)を1つ教えてください(一行程度)。
 

ウガンダは気候がとってもいいです。アフリカと聞くと暑いイメージだったのですが、首都カンパラは通年25度前後で過ごしやすいです。どうぞ避暑にお越しください。


松本 夏季(まつもと・なつき)
UNDPウガンダ事務所/UNVコミュニケーション・メディアスペシャリスト

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