近藤哲生UNDP駐日代表がNHK視点論点で「国連創設70年と持続可能な開発目標(SDGs)」を解説しました

2015/09/23

 

近藤哲生UNDP駐日代表が2015 年9月23日放送のNHK視点論点で「国連創設70年と持続可能な開発目標(SDGs)」を解説しました。当日の原稿全文を以下に公開いたします。

視点・論点 「国連70周年と持続可能な開発目標の採択」
国連開発計画(UNDP)駐日代表 近藤哲生

国連は、第二次世界大戦の終結と共に「国際の平和と安全を維持すること」を一つの目的として設立され、今年70周年を迎えました。第二次世界大戦で敗戦国となった日本は主権回復後、1956年に国連へ加盟、国際社会への復帰を果たしました。今年も今月半ばからニューヨークで国連総会が開かれています。会期中には、世界の首脳たちによって、貧困や気候変動など地球規模の課題解決に向けた『持続可能な開発目標』、SDGsが採択される予定です。本日は、国連創設70周年が世界と日本にとって持つ意味と、持続可能な開発目標、SDGsについてお話しさせて頂きます。

まず、国連の歩みを振り返ってみます。国連は1945年、第二次世界大戦で勝利をおさめた連合国側が中心となり、大戦で戦った国が、再び平和を脅かすことがないようにする連合組織として発足しました。その後、国際社会の構図は大きく変化し、1960年以降、アフリカ諸国をはじめ、新興独立国が数多く加盟するようになると、国連は途上国の近代化や開発のために貢献するという役割に比重が移りました。私が所属する国連開発計画、UNDPは、その国づくりを支援するため、1966年に国連総会で設立された機関です。世界129か国に拠点を置き、170か国以上で活動するUNDPは、教育の普及やHIV対策など草の根レベルの活動から、民主的ガバナンスの推進、司法制度の構築、政府職員の能力強化など、国の基盤づくりにも関わってきました。それは国連加盟国からの資金や技術協力によってなしえたことでもあります。

日本もその重要な役割を担っています。戦後賠償の一環として1954年に始まった日本の政府開発援助、ODAは日本の経済発展と共に援助の量、幅を拡大。1991年から2000年までの10年間、日本のODA額は世界第1位でもありました。ODAを通じ て、世界で貧困、教育、保健をはじめ、様々な課題の解決に向けて貢献することは国際社会の一員として重要な責任です。2国間協力や国連やNGOなどを通じて、社会インフラの提供、人材育成や技術移転などを実施し、これまで190の国・地域の発展に貢献しています。平和で安定した国際環境は、自国の平和や安定を維持する上でも必要不可欠です。他国との関係を強化し、信頼を得ることは、国の安全や繁栄にも結びつきます。 また、国が国際社会に対して果たすべき責任が見えてくるようになりました。

その責任の一つとして、今から15年前の2000年、世界の首脳たちが、より安全で豊かな世界づくりへの協力を合意したのが「ミレニアム開発目標」(MDGs)でした。これは、2015年までに貧困を半減し、より豊かで健康に暮らせる世界をつくろうと8つの目標を設定したもので、これまで、この目標に基づいて、国連は開発プロジェクトを政府や市民社会などとも協力して実施してきたのです。その結果、1990年には19億人だった極度の貧困層は約8億人にまで減少しました。乳幼児死亡率も下がり、就学率が向上するなどの目標も達成できました。

世界は「具体的な目標を設定し、一丸となって取り組むことで大きな成果を生む」ということも学びました。しかし、妊産婦死亡率の削減目標が達成困難など、依然として、課題も残りました。そして、ミレニアム開発目標の成果と課題を踏まえ、国連加盟国、市民社会、世界の有識者は、長年議論を続け、ようやく今年、2016年から15年間の新たな目標、『持続可能な開発目標』、SDGsに合意しました。

『持続可能な開発目標』、SDGsは17の目標と、169の具体的な達成基準で構成されています。この新たな目標は、貧困や飢餓の解消、安全な水や清潔なトイレの確保などミレニアム開発目標からの流れを汲むものに加え、気候変動への対応、海洋資源の保全や利用、持続可能なエネルギーの確保など、途上国だけでなく先進国も自国での取り組みを求められるものが多く含まれています。また、私たちを取り巻く「環境」、生活をはぐくむ「社会」、暮らしの糧となる「経済」、という3つの側面を見ながら開発を進めます。この新たな目標には、インターネットやアンケートを通じて寄せられた、約720万人の一般市民の声が反映されたのも特徴です。

国連創設70周年を迎える今、世界は気候変動による自然災害の増加や生態系の破壊、国境を越える感染症の脅威、格差拡大、貧困に起因する国際テロリズム、そして難民問題といった数多くの新たな課題に直面しています。互いに絡み合い、解決を複雑化するこうした問題に対して、働きかけるために持続可能な開発目標、SDGsは策定されました。この目標は「地球上の誰をも置き去りにしない」、「Leave no one behind」という理念が軸にあります。

私は国連開発計画、UNDPの駐日代表に着任する前はアフリカのチャドや旧ユーゴスラビアのコソボ、東ティモールなど、戦争に巻き込まれた国の復興や再建に数多く携わってきました。平和、開発、人権尊重が損なわれた社会では、特に女性や子どもが悲惨な生活を強いられ、恐怖や欠乏の中で人間の尊厳が失われてしまいます。

SDGsの底流にある考え方は、持続可能な開発を進める上で前提となる平和です。どれだけ開発支援に投資しても、社会が不安定化し、紛争や戦争が発生することで、それまで取り組んできた成果は大きく損なわれ、回復にも時間がかかります。地震や台風といった自然災害も開発を後退させます。このような課題も踏まえて、持続可能な開発目標、SDGsは人類が協力して取り組み、数値に表れる成果をあげることが重要です。

同時に、新たな開発目標では、先進国から途上国へ富や技術を移転するという従来型の援助構造だけではなく、新たな資金源の確保、アプローチの開拓が求められています。途上国での商業活動を通じてその国の経済を成長させ、社会が抱える課題の解決に貢献する民間企業も増えています。

ソーシャルネットワークや新たな技術、アイディアで貧困を解消し、教育の機会を増やすなど社会への貢献を目指す起業家も数多く活躍しています。それによって、経済が活性化し、雇用創出にもつながっています。国連開発計画、UNDPは毎年、国連総会の時期に合わせて、ニューヨーク、東京を含む世界の各都市で「ソーシャル・グッド・サミット」というイベントを開催して、企業や団体の先進的な取り組みを紹介し、その活動を応援しております。

最後に、強調しておきたいのは『持続可能な開発目標』、SDGs達成に向けて取り組むのは国連や政府だけではなく、地球上で暮らす私たち全員ということです。気候変動への対応、環境保護、平和な社会づくりなど地球規模の課題は、1人ひとりが「自分ごと」として取り組まなくては解決できません。みなさんも日々の生活、仕事、学業などを通じて、17の「持続可能な開発目標」、SDGs達成のために何ができるかを一緒に考え、取り組んでいきましょう。

 

 

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