2019年8月28-30日に横浜市で開催された第7回アフリカ開発会議のサイドイベント「UHC推進への協業:顧みられない病気のための医療技術イノベーションとアクセス促進」のパネルディスカッションで発言するUNDPのHIV・保健・開発グループ・ディレクター、マンディープ・ダリワル氏。 Photo: Masaki Kosakai

 

横浜 ― 第7回アフリカ開発会議公式サイドイベントで、新しいパートナシップと投資がアフリカでUHCを実現させるには不可欠であると、ハイレベルの専門家たちが述べました。当イベントでは、顧みられない病気のための治療薬、ワクチンや診断法などの新規医療技術の研究開発とそれらを必要としている人々へのアクセスと提供のための革新的な方策が紹介されました。

国連、ガーナ共和国、国会とアフリカ連合(AU)のハイレベル代表者と、企業やイノベーションと保健政策の専門家が一堂に会し、アフリカでUHC達成を推進するための分野横断的な方策について話し合いました。当イベントは国連開発計画(UNDP)の「アクセスと提供に関するパートナーシップ(ADP)」、グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)、国連ボランティア計画(UNV)の共催で実施され、UNDPのHIV・保健・開発グループ・ディレクターのマンディープ・ダリワル氏がモデレーターを務めました。

今回共有されたビジョンは、9月下旬の国連総会(UNGA)の際に開催される「UHCのための国連ハイレベル会合」にむけた大事なタイミングで発信されました。

「世界の最も貧しく、脆弱な人々の多くは健康でいるために必要な治療薬、ワクチンや診断法へのアクセスがありません」と、UNDP総裁のアヒム・シュタイナー氏は述べました。「場合によっては、途上国に多くみられる病気のための効果的な医療技術が全く存在しないこともあります」シュタイナーは、顧みられない病気と闘うために必要な治療薬やワクチン、診断法が開発されないのは、単に医薬品研究開発の経済理論が多くの医療ニーズと合致していないからだ、と言います。「このギャップを埋めるには多大な投資と新しいパートナーシップが不可欠である」とシュタイナーは述べました。

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当サイドイベントのパネリスト: 大浦佳世理GHIT CEO
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当サイドイベントのパネリスト: 武見敬三参議院議員/WHO・UHC親善大使
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当サイドイベントのパネリスト: アヒム・シュタイナーUNDP総裁
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当サイドイベントのパネリスト:寺島薫富士フィルム執行役員メディカルシステム事業部IVDイノベーション部管掌
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当サイドイベントのパネリスト:マンディープ・ダリワル UNDP HIV・保健・開発グループ・ディレクター
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当サイドイベントのパネリスト:クウェク・アジマン=マーヌガーナ保健大臣
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当サイドイベントのパネリスト:アミラ・エルファディルAU社会問題担当コミッショナー

 

日本政府は、満たされない医療的ニーズのための研究開発の促進と低・中所得国において必要な医療技術へのアクセスを確保するため、二つの事業を通じてUNDPと協働しています。GHIT Fundは結核、マラリアや顧みられない病気などのための新規医療技術の開発への投資やグローバルなパートナーシップを促進。またADPは低・中所得国へ、安価で質の高い治療薬、ワクチンや診断法の迅速な導入に係る技術支援を行います。

参議院議員でありWHOのUHC親善大使である武見敬三氏は、保健が人間の安全保障と包摂的(inclusive)な経済成長の前提条件であることを主導的な立場で提唱してきました。GHITとADPの事業の補完性が「一方で結核、マラリアや顧みられない病気などのための医療技術のイノベーションを牽引し、同時にアクセスと提供を促進するために保健システムを強化している。これはUHC達成に向けた日本政府の戦略的なアプローチを示している」と述べました。

武見氏は2019年1月に発足したグローバル・プラットフォームである「新規医療技術、アクセスと提供のための協働」について言及。これは医療バイオ研究開発の資金提供者、医薬品開発パートナーシップや、アクセスと提供の向上に関わるその他の主要なアクターの連携をさらに促進するものです。

「UHCのための財政(ファイナンシング)が今は最優先課題であり」、その中で新規医療技術、アクセスとサービス提供が考慮されなくてはならない。目指すのは、それぞれのパートナーが協働しやすい枠組みを作り、優良なガバナンスを実施すること、そのためには政治的なリーダーシップが必要である、と彼は述べました。TICAD7は日本やアフリカ各国首脳、国連機関のリーダーシップを強化し、日本の安倍晋三総理が提唱するアフリカを含むグローバルヘルスへの「安定した」コミットメントを再確認するものであると言いました。

GHIT Fund CEOの大浦佳世理氏は、パートナーシップ、現地の専門性とイノベーションの重要性を強調しました。GHIT Fundは、UNDPを通じた日本政府からの拠出、製薬医療品企業、ビル&メリンダゲイツ財団とウエルカム・トラストからの資金で成り立つユニークな官民パートナーシップであると述べました。

GHIT Fundは、外部からの資金を動員することで民間企業のグローバルヘルスの研究開発への参画を促します。技術を持っているがそれをグローバルヘルスに活かすことができない企業と組むことは重要である、と彼女は述べました。一つの「素晴らしい」例として、富士フィルム社が既存の写真現像技術を応用して開発した、尿サンプルで結核を診断する高感度な迅速診断キットを挙げました。富士フィルム社の寺島薫氏がその技術についてさらに説明を行い、彼らの開発は単独では実現できなかったこと、パートナーシップの重要性を強調しました。

「パートナー同士をつなぎ、既存の考え方にとらわれない発想をすることによってイノベーションは生まれる」と大浦は述べました。「常に新しいものを創り出すということではなくて、新しい発想、既に存在している異なるものを繋ぐ―それがイノベーションにつながるのです」

同じことが臨床試験についても言える、と彼女は述べました。アフリカで実施される臨床試験は、現地の医療従事者の能力向上、臨床技術の改善やその他にも将来の臨床試験や保健医療の提供に寄与する付加価値を生みます。これらはアフリカ各国のUHC構築、拡大へ貢献するものだ、と大浦氏は述べました。

クウェク・アジマン=マーヌ、ガーナ保健大臣はガーナの数多くのパートナーシップと「ほとんど達成に近づいている」ユニバーサル・ヘルス・カバレッジに向けた同国の進捗について説明しました。彼は、パートナーにとって魅力的である動機付けの方策や、政府が実践しうる医薬品や医療技術へのアクセスを実現させる財政政策について述べました。

大臣は「主要な財源である」国家医療保健税について説明。一方、今後の課題として、コストの増加や非感染症疾患(NCDs)の台頭などの新しい脅威があると述べました。

AU社会問題担当コミッショナーのアミラ・エルファディル氏は、政策の一貫性と規制制度のハーモニゼーションのためには有効な地域レベルのプラットフォームが不可欠であると述べました。AU委員会が進めている幅広い方策について説明があり、それには2016-2030年の大陸全土の保健政策、HIV、結核とマラリア終焉のための促進的枠組み、疾病予防管理セター(CDC)の設立、今年発足するアフリカ医療機構による薬や医療品や医療技術の規制制度の改善などがありました。アフリカ独自の方策にはパートナーシップが必要であり、民間セクターの参画が「とても重要になる」と述べました。

「アフリカの経済的繁栄の基礎は健康な人口である」とアミラ・エルファディル氏は述べました。

UNV事務局次長のトイリー・クルバノブ氏は、保健課題への取り組みにおいてボランティアが担う不可欠な役割を強調しました。彼はUNVがADPなどと組んでガーナで支援した、薬の安全性管理を促す新しい端末アプリの立ち上げについて説明しました。

今回のイベントのスピーカーは、新規医療技術のイノベーションとアクセスを加速させることがSDGsのビジョン実現に不可欠であること、新しいパートナシップと投資が顧みられない病気のための医療技術開発に必要であることに合意しました。

 

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