国連開発計画(UNDP)は、2019年6月17日(月)にJICA中部センター主催で開催されたアフリカビジネスセミナーをJETROと共催いたしました。本セミナーは、本年8月に横浜で開催される第7回アフリカ開発会議(TICAD7)を見据え、より多くの企業の皆様にアフリカビジネスのヒントを掴んで頂くべく、地方5都市にて開催しています。

冒頭、長英一郎・JICA中部センター所長が、TICAD7に向けて日本の民間企業のアフリカ進出を切望する声がこれまで以上に高まっているとともに、アフリカは「日本企業が21世紀を生き残る試金石」であるとし、本セミナーがアフリカ進出の一助となればという期待感とともに開会の挨拶をしました。

続いて、山田重周・外務省アフリカ部アフリカ一課課長補佐より、ODAによる開発援助政策を協議する場として1993年にスタートしたTICADは、その後約四半世紀を経て、アフリカ側の目覚ましい発展と経済成長を背景に、近年は援助より投資を求める声が高まっているとし、今月上旬には外務省・経産省が共同議長となってアフリカビジネス協議会を立ち上げ、官民一体となってアフリカ進出支援を行っていくと述べました。

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続いてアフリカ進出中の日本企業30社へのインタビューに基づく調査報告書「アフリカ進出のすすめ」を発表した経済同友会からは、アフリカ委員会委員長・豊田通商顧問(当時、現シニアエグゼクティブアドバイザー)の横井靖彦氏が、アフリカに成長機会を見出す最新の事例と知見を基に講演しました。

横井氏は、アフリカの潜在的なチャンスについて、成長市場、豊富な若い労働人口(平均年齢20歳以下が人口の過半数)、急増する中間層、技術の進歩という切り口から説明。また、その一方で、未発達のインフラ、ガバナンスの問題、感染症、治安等、さまざまな課題を巡り、企業の不安や迷いは小さくないであろうと述べ、1970~80年代に日本企業がアジアへ進出した当時の状況にも触れながら、アフリカのチャンスとリスクのどちらにより重きをおくかと問いかけました。

さまざまな不安を乗り越え、アフリカに進出する企業が増えていることを説明し、他に先駆けて進出した企業の経験から言えることとして、思い切って早いうちに現地に飛び込み、学び・経験を得ることの意義、トップが自ら決断し、思いを持って取り組むことの重要性、そして、現地パートナーや日本の政府機関や国際機関との連携が有効であることなど、を紹介しました。こうした進出企業はチャンスを活かし、リスクを上手くコントロールしていると説明しました。

最後に、横井氏は、アフリカにおけるリスクを、1)世界が一緒になって解決を目指す必要があるもの(貧困・栄養・衛生など)、2)アフリカ各国の改善努力が必要なもの(法制度、ガバナンス)、3)日本の官民のプレイヤーが知恵を出せば克服できるもの(知識不足、人材確保、進出に必要な資金)に分け、それぞれについて改善に向けた動きが見られるようになっていると説明し、こうした機運を背景に、まずは積極的に情報収集に取り組み、JICA・JETRO・UNDPといった公的機関のサポートを活用することが有効と強調しました。

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続いて、JICAタンザニア事務所長・山村直史氏、JICAブルキナファソ事務所長・小林丈通氏、JICAセネガル事務所長・小森正勝氏の3名より、各国の政治・社会・経済の概況について説明があり、これら国々への日本企業の進出事例として3社から事業紹介がありました。

セントパーツ株式会社代表取締役の種谷謙一氏は、東アフリカにおける中古車市場の大多数を占めている日本車の流通に目を付け、UAE等から再輸出され流通していた部品をアフリカ内にて直接販売できるよう2015年よりタンザニアにて日本車の部品販売事業を開始、さらに施設・技術の不足等の課題を抱える整備市場に着目し、2018年から現地で整備事業も開始。今後はJICAの中小企業・SDGsビジネス支援事業を活用して、タンザニア人整備士の育成・技術移転を実施していくと説明しました。最後にタンザニア自動車産業への貢献を通じ、自社のビジネス領域を拡大していくと決意を述べられました。

「イチゴがあるところには世界中どこにでも行く」とし、ブルキナファソで古くからイチゴ栽培が行われていることに着目した株式会社秀農業代表取締役の加藤秀明氏は、2018年よりJICAの中小企業・SDGsビジネス支援事業で同国におけるイチゴの産地育成調査を実施。現地では日本でも育てられていた種類のイチゴが育てられていると説明、同調査を通じて現地におけるイチゴ栽培の可能性を確証でき、今後は実証事業として展開していくと述べられました。また、栽培に留まらず、将来的にはジャム等の加工品を含めてブルキナファソ国内外に展開していく可能性について言及しました。

ヤマハ発動機株式会社・海外市場開拓事業部国際協力グループの中村彰氏は、同社では売上の90%が海外事業、10%が国内事業によるものと述べ、海外市場開拓事業部は社会課題の解決とコマーシャルビジネスを両立することを目指しているという説明がありました。セネガルにおいて、船外機はほぼ100%のシェアで、浄水機プロジェクトも拡大している同社の次の事業は、25,000隻以上ある木造漁船をFRP(繊維強化プラスチック)化し、零細漁民の航行・操業の安全と収入拡大を図るというもの。JICA協力準備調査事業を利用して市場調査を実施、木造船の4-5倍のコストがかかるが、安全なFRP船を流通させるため、政府と連携して安全基準を省令化し、現地生産体制の構築と現地人材の育成やファイナンスの構築に取り組んでおり、2019年内に事業化の判断を実施すると説明しました。FRP船の現地生産について、過去34か国で技術供与した経験の中でもセネガルの人材は優れているとし、事業化に向けた期待を述べました。

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こうした発表を受け、このような日本企業のアフリカ進出を後押しし、日本とアフリカの双方の社会経済発展を目指すため、UNDP、JETRO、JICAが連携して提供する支援について発表しました。

JICA中部センター連携促進課の木村有里氏は、JICAが提供するビジネス支援事業や人材育成事業について説明しました。中小企業・SDGsビジネス支援事業は、ビジネス展開の段階に応じて基礎調査、案件化調査、普及・実証・ビジネス化事業を支援する制度であると説明し、アフリカが抱える開発課題の解決に資すると考えられる日本の製品・技術は様々な事例があると紹介しました。また日本政府が進めるアフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(ABEイニシアティブ)生をインターン生として活用することでアフリカ進出のきっかけとなった事例等について説明しました。

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次にUNDP近藤千華・TICAD連携専門官より、JICA・JETRO・UNDPが連携して日本企業のアフリカ進出を支援していくこと、ビジネス展開の入り口から事業拡大までのそれぞれの過程において、三機関の強みを活かした支援を用意していること、窓口はどこでも構わないので三機関のいずれかに相談があれば各機関連携して支援していくとの説明がありました。JETROは日本48都道府県に事務所があり気軽に相談に行けること、また60年のビジネス展開支援の実績があり各種アドバイザリーサービスが充実していること、JICAは各種調査・実証事業の資金支援が可能であり、ODA事業との連携を図ることが可能なこと、UNDPはアフリカ53拠点の事務所があり、現地で政府関係者のみならず商工会等にも強力なネットワークがあると述べ、アフリカ進出のサポートに三機関を活用してほしいと話しました。

さらにTICADはアフリカ進出のきっかけになりうると説明し、TICADVIにてバイオマス炭化装置技術を展示し多くのアフリカの国より引き合いを得て、現在JICA中小企業・SDGsビジネス支援事業を活用してケニアでパイロット事業を行う石川県・金沢の明和工業を紹介しました。さらに、事業が軌道に乗り拡大を目指すフェーズにおいては、ビジネス行動要請(BCtA)という長期的視点で商業目的と開発目的を同時に達成できるビジネスモデルへの認証制度が活用できると述べました。

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日本の企業にとって成長の機会となるアフリカ市場についてきっかけや思いから経験に基づくヒント、さらには進出を検討する際の支援制度などアフリカ進出に係る網羅的な情報を提供するイベントとなりました。同様のビジネスセミナーを大分市、岡山市、仙台市にて順次開催することを予定しており、今後もUNDPは、JICAやJETROと連携してアフリカの発展に貢献する日本企業を応援していきます。

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