ケニアにおける新型コロナウイルスに関する会議

コロナ禍における郡政府の強靭性:未来に向けた持続可能性の構築

2020年12月10日

ケニアでは、2020年3月13日に初の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症例が記録され、2020年8月10日時点で、2万6,436人の感染が確認されています。国と郡政府は、コロナウイルス・パンデミック対策国家調整委員会(NCCRCP)を通じ、コロナ対策の調整を図っています。このメカニズムにより、国と郡が症例の特定、症例管理、抑制措置のほか、必須部門と人々の暮らしへのコロナ禍の影響を軽減するための政策策定でも協力できるようになりました。新型コロナウイルスがもたらした混乱で、国家、非国家にかかわらず、あらゆる機関がその計画や予算を作り直し、さまざまな部門へのサービス提供方法を再考せざるを得なくなっています。

こうした現状に鑑み、国連開発計画(UNDP)ケニア事務所は日本政府からの資金供与を受け、郡知事会議とのパートナーシップのもと、「コロナ禍における郡政府の強靭性:未来に向けた持続可能性の構築」というテーマで会議を開催しました。47の郡政府その他、国内のステークホルダーが参加して開催されたこの会議のねらいは、地方自治体のコロナ禍への対応を評価し、教訓と好事例を共有するとともに、コロナ禍の中でも回復力を保つ方法や、将来のパンデミックに備えて国と地方で採用できる戦略的政策措置に関する提言を行うことにありました。

会議で策定、承認された15の決議を伴うコミュニケは、今後の対策や国との連携の指針となるものです。国も郡政府も、決議を直ちに実行に移すことを約束しました。コミュニケの内容は、18の主要開発パートナーで構成されるケニア・ドナー・パートナー・グループ 1 とも共有されました。これによって、プロジェクトのインパクトがさらに広範囲で実感されるとともに、他のパートナーにとっても有意義なものとなることが確保されます。

開会と閉会の辞を述べたケニア共和国のウフル・ケニヤッタ大統領は、コロナ禍がケニアに及ぼしている影響と、これに取り組むために講じられている措置を明らかにしました。大統領はさらに、日本(堀江大使が代表として出席)を名指しして、コロナ禍の影響に対処するうえでのパートナーシップの重要性を強調しました。

堀江良一駐ケニア日本国特命全権大使は、ケニアと日本の長年にわたる開発パートナーシップを強調するとともに、今回の会議が特に、日本政府の補正予算によってUNDPが実施しているプロジェクトの一環で開催されていることを述べました。

このオンライン会議では、全員出席型のアプローチが採用され、ケニアの政府と国民の間で関心が強い計14件のトピックを対象に、3回のパネル・セッションが行われました。

  1. 会議では、郡政府がCOVID-19対策として行った取り組みの内容や、こうした対応メカニズムの実効性と持続可能性を検討しました。参加者は、郡政府が特に集中治療室(ICU)の病床数と隔離施設という点で、医療システムの能力を強化したことに留意しました。郡政府は、国から郡への資金移転の遅れが課題になっていることを指摘しました。
  2. 会議では、医療、教育、貿易、製造、輸送、水、ジェンダーおよび農業を含め、さまざまな部門におけるCOVID-19の影響について話し合うとともに、将来のパンデミックに備えて導入できる政策・立法措置に関する提言も行いました。
  3. 会議では、コロナ禍における研究、データおよび政府間関係の役割と、将来のパンデミックに対処するために、これをどう活用できるのかについて、検討を加えました。また、パンデミック対策として他の郡や、アフリカと世界のその他地方自治体で新たに導入されてきたベストプラクティスも検討しました。

1 デンマーク、アイルランド、スウェーデン、欧州連合(EU)、オランダ、イタリア、ドイツ、国際協力機構(JICA)、米国国際開発庁(USAID)、ドイツ国際協力公社(GIZ)、英国国際開発省(DFID)、アフリカ緑の革命のための同盟(AGRA)、国連工業開発機関(UNIDO)、国連開発計画(UNDP)、国連世界食糧計画(WFP)、国連食糧農業機関(FAO)、UNDP、国際農業開発基金(IFAD