日本政府とのパートナーシップ:ブルキナファソにおける新型コロナウイルスに対する予防、対応、復興への取り組み

2020年12月9日

2015年以来、安全保障と人道上の危機を抱えているブルキナファソは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響を極めて受けやすい国となっています。安全保障の危機により、ブルキナファソでは多数の国内避難民が発生し(2020年4月時点で80万人以上)、医療システムが弱体化した地域の中には、住民に対する十分な医療の提供に悪戦苦闘しているところもあります。社会、経済、政治的な破綻に、テロの増大、暴力的過激主義の台頭、急進化を特徴とする地域的な影響が加わり、新型コロナウイルスによる危機は社会的連帯と平和的共存にも悪影響を及ぼしています。

国連開発計画(UNDP)ブルキナファソ事務所は日本政府とのパートナーシップにより、ブルキナファソ政府による新型コロナウイルス関連の予防、対応、復興への取り組みを支援しています。現地の住民に適した支援を提供するため、いくつかのイニシアチブが実施に移され、成功を収めています。

女性商人を対象とするカヤとワガドゥグの強靭な市場モデル

市場(ヤール)の閉鎖を含む政府のコロナ対策は、最弱者層の人々と世帯、特に日当や日雇いの仕事でその日の生鮮食品と必需品を買って暮らしている人々に劇的な影響を及ぼしました。大統領は2020年4月2日の声明で、コロナ対策の要件を守りつつ、弱者層に基本的な食料と生鮮品の供給を継続するため、閉鎖の緩和措置を導入するよう地方当局に指示しました。これを受け、UNDPブルキナファソ事務所は他の国連機関と協議のうえ、地方自治体が新型コロナ対策に従い、特定の市場を開けるよう支援する「強靭な市場モデル」のコンセプトを策定しました。ワガドゥグとカヤで特定された3つの市場で、下記の措置が展開されています。

  1. 「大型公共手洗所」の設備システムを設計し、10ヤール、サンカルヤール(ワガドゥグ)、第7地区(カヤ)の各市場の正面入口に設置しました。
  2. カヤで生鮮食品を売る女性商人向けに、10台の屋台を設計、設置しました。市場が改良され、清潔かつ社会的距離の要件を満たす場所での取引が可能になりました。
  3. 市場関係者を対象に、コロナ予防対策の研修、啓発と日常的な遵守確認を行うため、ブルキナファソの国家ボランティア計画との連携で、650人のボランティアが2か月間にわたって配置されています。ワガドゥグ(10ヤールとサンカルヤール)のボランティアによると、すでに1日当たり673人の検温が実施され、マスク着用率も2.8%から23%へと拡大したほか、数日間で1万3,000人を対象とする啓発活動も行われたということです。

誹謗中傷や差別への取り組み

人権を擁護し、弱者集団を守るための取り組みとして、UNDPは国家人権委員会(CNDH)や情報と自由に関する委員会(CIL)との戦略的パートナーシップを確立し、新型コロナウイルスへの対策の一環で、人権と誹謗中傷/差別防止に関する措置を策定しました。これを受けて展開されている広報・啓発キャンペーンでは、動画やラジオ版スポット広告(フランス語、フルフルデ語、ムーア語、ジュラ語)や資料が作成され、主な全国ネットのTVチャンネルや、ソーシャルメディア(TwitterとFacebook)を通じて発信されました。UNDPは拘置施設向けとして、CNDHに防護機材(水アルコール・ジェル、マスク、手洗システム)の供与も行っています。こうした取り組みは、最弱者層を対象とする包摂的で総合的なコロナ対策に貢献するとともに、コロナ禍を食い止める取り組みに対するコミュニティの実効的関与を促すことになると期待されています。