UNDPと日本政府、マラウイでCOVID-19関連物資の現地生産を支援

2021年6月16日

写真左より、マック・マレワ・カムズ保健科学大学長、クンビゼ・チポンダ保健大臣、岩切敏駐マラウイ日本国特命全権大使、小松原茂樹UNDPマラウイ事務所常駐代表

国連開発計画(UNDP)と日本政府は、マラウイでの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策に必要な個人用防護具(PPE)などの物資の現地生産を拡大するためのプロジェクトを立ち上げました。

日本政府による資金拠出とUNDPによる技術支援を受けた本プロジェクトは、必要不可欠な医療従事者や社会サービス、小売業、インフォーマル・セクターといった第一線で働く人々向けのPPEなどのCOVID-19関連物資へのアクセスを拡大し、その供給や管理を改善することで、人間の安全保障を支えることを目的としています。

公立大学6校と民間企業8社がこれらのPPEを生産するために協力しました。大学からはムズズ大学、マラウイ大学、カムズ保健科学大学、マラウイ科学技術大学、マラウイ・ビジネス・応用科学大学とリロングウェ農業天然資源大学が、民間企業からはシャープ・ケミカルズ・リミテッド社、カワンダマ・ヒルズ・プランテーション社、ウィジェイズ・エンタープライジズ社などが参加しています。

この大学と民間企業による産学複合体がフェイスマスク、フェイスシールド、手指消毒液、殺菌剤、足踏み式手洗い機や分子検査試薬を生産する予定です。質を保証するため、本プロジェクトはイノベーション調整委員会(ICC)が監督しており、保健省、学術界、薬事医薬品規制局やマラウイ基準局などのパートナー省庁や規制当局の参加を得ています。

ブランタイヤのカムズ保健科学大学で開催された本プロジェクトの立ち上げに際し、クンビゼ・チポンダ保健大臣は、マラウイにおけるUNDPによる複数のCOVID-19対策を称賛するとともに、マラウイ国民を代表して、日本政府に対し、そのような称賛に値する取り組みに対する資金拠出について謝意を表明しました。チポンダ大臣は、本プロジェクトは、COVID-19関連物資の生産について同国が自立する助けとなるだろうと述べました。

「保健省として、私たちはUNDPと日本政府によるPPEの生産に向けた支援に大変感謝しています。また、本プロジェクトの実施者に現地企業が含まれているという点も特筆すべきです」とクンビゼ・チポンダ保健大臣は語りました。

岩切敏駐マラウイ日本国特命全権大使は、挨拶の中で、日本政府がマラウイにおけるCOVID-19関連物資生産支援のために1,388,363米ドル相当の資金協力をコミットしたことについて言及しました。この資金は、日本の2020年度補正予算を財源に、UNDPを通じて本プロジェクト実施のために拠出されます。

岩切大使は「日本大使館は、マラウイにおける新型コロナウイルスの影響を解決するためにUNDP、保健省や他の様々なパートナーとパートナーシップを継続していきたいと考えています。マラウイの発展のため、本プロジェクトで役割を担う全ての機関に対して、本プロジェクトを効果的に実施していただきたい。」と語りました。岩切大使はまた、COVID-19対策は協調的な取り組みとすべきであり、現地の機関が主導し、解決の一翼を担わなければならないと述べました。

今回の支援により、フェイスマスク34万2千枚、フェイスシールド10万個と足踏み式手洗い機1,500台の生産と配布が確保されます。本プロジェクトの実施期間は1年間で、直接受益者は8万人、間接受益者は約160万人に上ると推計されています。

小松原茂樹UNDPマラウイ事務所常駐代表は、スピーチの中で、日本政府による支援を称賛するとともに、COVID-19対策において、本プロジェクトやマラウイ政府・国民に対するコミットメントを表明しました。選ばれた現地組織に対するUNDPによる支援の内容は、能力構築から機材・素材、市場の連携に及びます。

「UNDPは、現地の機関や企業が、質を保証し、生産量を改善するための能力構築を支援しています」とUNDPマラウイ事務所の小松原常駐代表は語りました。

大学イノベーション調整チームの議長であるデイビッド・ンクワンビシ博士は、挨拶の中で、新たに立ち上げられたMalawi Vision 2063に従って、マラウイ固有の課題解決に最も即した革新的なソリューションを開発する上で高等教育機関が果たす重要な役割について強調しました。ンクワンビシ博士はまた、本プロジェクトを通じて、これらの機関は重要な政府の省庁・部局とのつながりができたとも述べました。

立ち上げに際し、カムズ保健科学大学のマック・マレワ学長は、世界は現代史上最悪レベルの大惨事に直面しているため、世界が直面する課題に対処するにはイノベーションに投資する必要があると語りました。

本プロジェクトのほかにも、UNDPマラウイ事務所は、マラウイ政府や主要なパートナーと協力して、情報通信技術(ICT)支援、デジタル・イノベーション、啓発活動、司法へのアクセスの推進、民間セクターへの支援や、パンデミック対応の一環としての脆弱な立場に置かれた人々の社会的保護を通じ、ガバナンス機構の強化を図っています。