日本政府資金による「ナイジェリア北東部およびミドル・ベルト地帯の紛争地域における社会の安定化および安全対策プロジェクト」における職業訓練

2021年12月14日

アリさん(右)とムスタファさん(左)。マイドゥグリにあるラマト技術専門学校のワークショップにて(UNDPナイジェリア事務所提供、2021年10月)

2021年3月、日本政府の支援を受けて「ナイジェリア北東部およびミドル・ベルト地帯の紛争地域における社会の安定化および安全対策プロジェクト」がスタートしました。このプロジェクトは、社会の安定と安全を向上させ、両地域における新型コロナウイルス感染症の世界的大流行による社会的悪影響を緩和することを目的としています。プロジェクトで提供される支援分野の1つは、生計の支援です。紛争地域の生計を向上させるため、国連開発計画(UNDP)はこのプロジェクトを通じて約400人の女性を含む1000人の若者に職業技能訓練の機会を提供します。

このプロジェクトで訓練を受けた若者に、アリ・カグ・ザンナさんとムスタファ・B・ムスティさんがいます。2人はボルノ州モングノ地方行政区(LGA)出身です。彼らは地域社会が急襲を受けたことにより、生計手段を失いました。アリさんはタマネギ事業に携わり、家族を養うとともに、他者のための機会を創出していました。一方、ムスタファさんは以前モングノでコンピューターのビジネスセンターを営んでいました。この2人の若い男性は、多様な事業に従事して家族を支えただけでなく、彼らと共に働き、彼らから学びを得る他者のために雇用機会を創出していました。

攻撃を受けて事業を失ったアリさんとムスタファさんは、人道支援組織の支援に頼って生活しました。その後、日本政府出資のプロジェクトによって、マイドゥグリにあるラマト技術専門学校で実施されている溶接・加工の2カ月間の訓練コースに参加する機会を得ました。

アリさんは、「自立して再び生計手段を得るために2度目のチャンスを与えてくださったUNDPと日本政府に深く感謝しています。以前に手がけていた事業とは全く違いますが、この新しい仕事に将来性を感じています。溶接や加工を学ぶのは初めてなので、しっかりと注意を払い、指導員から必要なサポートを全て受けています」と言います。

ムスタファさんは、「生計手段を失って以来、家族を支え、必要なものを全て与えることが難しくなりました。私たちは困難な状況で暮らし、家族を養うために人道支援に大きく依存していました。私たちは皆、再び自立して家族を養いたいと思っています。何年も別の仕事を専門にしていたため、新しい仕事を学ぶのは簡単なことではありませんが、この期間を通して訓練を有効に活用するつもりです。このような機会の価値に気づかせてくださったUNDPと日本政府、そしてボルノ州政府に感謝しています」と語っています。

アリさんとムスタファさんは、卒業後に共同事業を立ち上げる計画です。共同で事業を行うことで、個別に事業所や設備、人材を確保する費用を削減できるからです。2人は訓練完了後に資格を満たした卒業生に支給される起業支援金を活用する計画をしています。