南アフリカにおけるCOVID-19後の経済回復に向けた脆弱な女性と若者に対する自動車セクターの職業訓練と再訓練

2021年12月14日

グループディスカッションの様子

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、南アフリカにおける若者の失業問題が深刻化しました。COVID-19の前においても、15歳から33歳までの若者2,040万人のうち、約820万人(40.3%)がニート、すなわち就労も就学もせず、職業訓練も受けていませんでした。パンデミックにより学校が閉鎖され、学習が中断されたことにより、南アフリカの若者は成長の機会を奪われ、雇用を巡る将来の見通しに長期的な影響を与えています。ある研究によると、南アフリカにおける18歳から34歳までの若者の60%超が、雇用市場の不確実性について「非常に心配」しています。

技術教育および職業教育と訓練(TVET)をCOVID-19後の経済・労働市場のニーズに合わせるとともに、市場の需要に応じた能力開発を行って若者と女性を経済的にエンパワーすべく、国連開発計画(UNDP)南アフリカ事務所は、日本政府からの支援を受け、2021年3月から2022年3月にかけて、「南アフリカにおけるCOVID-19後の経済回復に向けた脆弱な女性と若者に対する自動車セクターの職業訓練と再訓練 」プロジェクトを実施しています。また、本プロジェクトでは、TVETカレッジと若者を産業界、特に日系企業をはじめとする自動車メーカーへの就業機会に一層つなげていくことを目指しています。

UNDP南アフリカ事務所は、高等教育・訓練省とハランビー若者雇用促進センター(Harambee Youth Employment Accelerator)と協力し、主にコースタル・クワズール・ナタールTVETカレッジ(Coastal KwaZulu-Natal TVET College)の若者と女性のスキルアップを図るため、新人製造作業員向けの認定研修プログラムを実施しています。 二つのグループから成る計44人の参加者が現在研修を受けており、うち16人が女性です。20人の参加者(うち女性9人)から成る最終グループは間もなく研修を開始します。

本プログラムは、技術的スキルを伸ばすだけでなく、働くための準備を整え、ソフトスキルを高めることで、社会に出るための能力を参加者に身に付けてもらうことを目的としています。ある参加者は、「このプログラムのおかげで、職場で予想されることや、様々な状況に対処する方法について意識するようになりました。とても役に立ちました」と述べました。別の参加者は「このプログラムを通じて、特に『職場での行動』のようなモジュールにおいて多くのことを学びました。また、数学や問題解決能力を磨く機会があり、これは将来成功する上で役に立つと思います」と語りました。

参加者たちは、日本の支援で本研修が実現したことに感謝するとともに、若者と女性はこのような機会がさらに設けられることを大いに必要としていると述べました。UNDP南アフリカ事務所は、今後も南アフリカ・日本両政府と協力し、若者と女性のスキル開発と経済的エンパワーメントに取り組みます。