コロナ禍における人間の安全保障の実現を目指し、TICAD8に向けてUNDPと日本の連携を強化

オンラインで駐アフリカ職員向けブートキャンプを6月23日に開催

2021年8月3日

人間の安全保障実現に対する国連開発計画(UNDP)と日本のパートナーシップを強化し、より意義あるものにすることで、弱い立場に置かれたアフリカの人々が直面する数多くの問題を克服し、機会に変えることを支援できます。

アフリカ開発会議(TICAD)の共催者である日本政府、アフリカ連合委員会、UNDP、国連アフリカ担当事務総長特別顧問室(UNOSAA)および世界銀行が、2022年にチュニジアで開かれる第8回会議のアジェンダを確定するための協議に着手し始めた中、UNDPは、日本との共創(co-creation)を促進するための駐アフリカ職員を集めてのブートキャンプを開催しました。

UNDP、日本の外務省、国際協力機構(JICA)、および日本貿易振興機構(JETRO)が集まった同セッションにおいて、参加者はアフリカにおける日本の戦略的取組みとアプローチに対する理解を深め、この困難な時期に、開発イニシアチブに対する協力を強化することで、より効果的な開発成果を生み出せるだろうと合意しました。

マチュー・シオウェラUNDPブルキナファソ常駐代表は、「UNDP、JICA、それにブルキナファソの民間セクターの関係者が意義深く協力しない限り、最も弱い立場にある人々に影響を及ぼしている課題には対処できません」と述べています。

加藤正明駐ブルキナファソ日本国特命全権大使は、サヘル地域において高まっている不安と深刻度を増す貧困によって同地域の女性と子どもが直面している点を強調しました。この地域はアフリカで最も不安定な地域の一つで、今年だけでも約3,000万人の人々がパンデミックによる経済的影響のために貧困に追い込まれました。国連によると、2019年より100万人多い2,400万人ものサヘル住民が今、人道的支援と保護を必要としています。

「UNDPは政府機関、NGO、商工会と強く結び付くとともに、アフリカ大陸全体に散らばる53事務所のネットワークから地域情報と専門知識を得ています。大陸におけるUNDPのプレゼンスが、こうした問題に効果的に対処するために有益なのです」と加藤正明大使は述べました。

JICAアフリカ部計画・TICAD推進課長の薬師弘幸氏は、COVID-19以後のアフリカの復興支援に関して、人間の安全保障とレジリエンス、DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用、大陸全体としてのアジェンダ、開発パートナーとの協力を促進することによる集約的成果の達成といったような重点を再構築することが求められている、と強調しました。

「COVID-19を踏まえると、統合的なアプローチが重要でありレジリエンスが鍵になります。2022年のTICAD8は、パンデミックを超えて安全で安心できるアフリカを実現することを参加者に動機付ける理想的な機会を提供するでしょう」と薬師氏は述べました。同氏は、包括的/統合的なプログラムアプローチとしてのUNDPの強みと、さまざまな分野における専門知識としてのJICAの強みに注目しながら、UNDPとJICAの両者が協力し合って特定の専門知識と地理的範囲を補足できる、両者の間のパートナーシップが持つ相補性を強調しました。

JETROラゴス事務所の貿易長官兼所長である谷波拓真氏は、近年アフリカに進出する日本企業の数が増えており、日本の新興企業や中小企業がアフリカ市場に新たなビジネスモデルを持ち込むことに積極的に関わっていることに言及しました。JETROは、ビジネスとリソースをつないでアフリカにおける投資を拡大する政府組織です。

「2020年にはCOVID-19が営業利益に大きな影響を与えたとはいえ、日本企業はアフリカでのビジネスに対する関心を失っていません」―谷波氏は、日本企業の投資先上位5か国であるケニア、南アフリカ、ナイジェリア、エチオピア、ガーナに言及しつつ、このように付け加えました。また、UNDPがその専門知識とアフリカの公共および民間部門とのネットワークを提供でき、JETROが日本企業と日本市場へのアクセスを提供できるなど、UNDPとJETROが互いに補完し合い、アフリカ大陸により大きな投資を招き入れることができると強調しました。

UNDP対外関係・アドボカシー局ジャパンユニット上級顧問の岸守一氏は次のように結論付けています。「UNDPと日本のパートナーシップが持つ長所は、UNDPと日本がそれぞれのリソースを持ち込み、それらを結び付けて共通のアジェンダに取り組むための「ソリューション」を創り上げるシナジー効果(Synergy effect)、より大きな効果を生み出すためのスケールアップ効果(Scale-up effect)、そして経験、専門知識、ネットワークを備えたUNDPが170か国に持つプレゼンスによって日本の活動範囲を補完できる補足効果(Supplementary effect)という『3つのS』で要約されました。」