ナミビアの人々を中心に置いた「よりよい復興」(ビルド・バック・ベター)—都市農業計画の実施

2021年9月2日

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによって、ナミビアの持続可能な開発目標に対する2030アジェンダの実現に向けたより意欲的な対応が必要になりました。

国連開発計画(UNDP)ナミビア事務所は日本政府・ナミビアの農水・土地改革相(MAWLR)とのパートナーシップを通じ、緊急事態や疾病関連の衝撃から回復するためのナミビアの食料システムの強化に向けた「よりよい復興」(BBB:ビルド・バック・ベター)計画プロジェクトを正式に立ち上げました。

「よりよい復興」(BBB)計画プロジェクトの受益者には、小規模農家や個人生産者、非公式な食料供給者として活動する400人の女性や若者が含まれます。

環境管理された苗床(エロンゴ州スワコプムント)

持続可能な統合型水産養殖システム ダウェブ養殖場(ハーダップ州マルタヘーエ)

日本政府が出資するBBB計画プロジェクトは、都市部のコミュニティに影響を与える食料不足と栄養不足に対処する園芸作物の生産奨励に焦点を置いています。また、非公式な食料供給者と地方にある食料市場の衛生や公衆衛生の改善も目標としています。その目的は、弱い立場にある人々の暮らしを所得創出活動で支援することによって、新型コロナウイルスによる社会経済上の影響を含む、都市部の家庭における食料の安全保障と栄養不足を軽減することです。

誰一人取り残さないこの多角的かつ統合的なアプローチはナミビアの4つの州(エロンゴ州、カバンゴ州、ホマス州、ハーダップ州)で始まっており、それぞれの自治体がパンデミックの影響や将来のそのような衝撃に対処するための構造を開発できるようにします。同プロジェクトは、公共部門と民間部門にわたるマルチステークホルダー・パートナーシップを促進する人間の安全保障のアプローチを追求し、その有効性を確認するものです。

栄養価に焦点を置いた都市の野菜農園 ルンドゥ都市農園(カバンゴ州)

オククナ農園 有機栽培と生態学に基づいた都市農業の実践 (ホマス州ウィントフーク)

BBB計画プロジェクトの正式な立ち上げにあたり、キャル・シュレットウェイン農水・土地改革相とアルカ・バティアUNDPナミビア常駐代表は、原田秀明駐ナミビア日本国特命全権大使に対して、日本政府のタイムリーな支援に対する謝意を表明しました。


同プロジェクト受益者の声

都市農業を通じてナミビアのジェンダー格差を埋める女性たち

ダウェブ農園共同委員会の副委員長に選ばれたジョアンナ・シモンさんは、ハーダップ州マルタヘーエにおけるBBB計画プロジェクトの女性受益者の一人です。

「我が家で食べる食材を手に入れるのにこの農園が役立つうえ、余った食材をここマルタヘーエのコミュニティに寄付できることを日本の人々に感謝しています。」

マリア・カウマさんは、その家族とウィントフックのコミュニティにいる人々の栄養状態を改善する技能を習得しました。

「私が必要とするものを私が暮らす場所の近くで育てることによって、今では私の家族とコミュニティのために栄養価が高く新鮮な有機栽培の食料を手に入れることができます。日本政府に感謝しています。」

オーギュスト・カンコノさんは、プロジェクトで学んだ知識をコミュニティの女性たちの一部に伝えて裏庭で野菜作りを始めるのを手伝う自信を得ました。

「コミュニティの人々が私のお客さんとなって、私の畑でとれた新鮮な有機野菜をいつでも必要な時に注文します。私は、日本政府からのこの支援により、野菜を販売して余分に貯蓄し、それを別の必要なものに費やすことができるようになりました。」

エミリー・ムウェタコさんは、スワコプムント市におけるプロジェクトの受益者メンバーが指名した3名のグループリーダーの1人です。ムウェタコ氏は北部から移動してきてスワコプムントで職を探しましたが、就職はかないませんでした。

「今では仕事に専念できているので、日本政府の支援に感謝しています。私は、ここスワコプムントで果物や野菜の育て方を学びました。ここで習得したことを北部のふるさとの人々に伝え、トウモロコシ以外の農作物を育てるのを手助けするつもりです。」

プロジェクトはサーラ・ジョアンヌさんのような女性がより栄養価が高く高価な農作物を栽培し、収入と家庭での健康的な食料の消費を推進しています。

「私たちが最初に始めたときは園芸についてよく知らなかったため、日本の人々から得た支援は本当に私たちの役に立ちました。今では、どの野菜が夏や冬によく育つのか習得しました。」

同プロジェクトでは、アグネス・シコンゴさんのような都市に基盤を置く小規模個人園芸農家が、野菜や果物といったより栄養価が高く高価な農作物の生産を改善し、家庭で消費する健康的な食料へのアクセスと所得創出を支援しています。

「私は、今では夫が近親や親戚の孤児たちの何人かを世話するのを支援できます。日本政府と日本の人々からの支援に本当に感謝しています。」

都市農業を通じてエンパワーメントの機会を拡大させる若者たち

2018年に農業学校を卒業したばかりのシモン・インディラさんにとって、職を得ることは難しいものでした。オククナ農園は、BBB計画プロジェクトを通じて、持続型農業を含む農業の志向的システムにおける訓練と実用的な体験を提供し続けています。

「日本の人々から受け取った資金のおかげで、家庭菜園の作り方のちょっとしたコツでさえ私たちの状況を改善するのに大いに役立つことを直に体験したため、私はこの知識をコミュニティの他の若者たちと共有し続けることができます。」

ケボン・セコゲルさんは最近、プロジェクトを通じてエロンゴ州において苗床と堆肥化に関する訓練を終えました。

「私は、様々な農作物に適した堆肥の混合を学びました。これはすべて日本政府のおかげです。また、ビートの根とホウレンソウの苗の育て方も学び、それらを育てることを楽しみにしています。これらの野菜を家庭で家族に食べさせることができ、さらに市場でいくらか販売して、ここスワコプムントで生計を立てることができます。」

アビサイ・ナカランバさんやスワコプムント市のその他の受益者たちを何人かの園芸専門家に紹介することを続けており、堆肥化や苗床の育成、天候や土壌条件の悪い地域でいかにして農作物をうまく栽培するかといった困難な課題を乗り越えることに関する様々な訓練を継続的に提供しています。

「私の目標は、できるだけ多くのことを学び、それを活かした職に就き、いつの日かこのスワコプムントのコミュニティにいる他の人々のために機会を創り出してより多くの若者を雇用することです。このすべてが日本政府のおかげで達成できたことであり、その支援に心から感謝しています。」

フィルモン・ムジャニマさんとその他の受益者たちは、プロジェクトを通じて、温度や湿度のレベルを維持する方法など、エロンゴ州の極めて大きな環境上の課題である苗床内の苗を育成する手段に関する訓練を受けました。

「私は、ここスワコプムントにおけるBBB計画プロジェクトの他の受益者たちの指名を受けたグループリーダーの一人です。そのことだけでも、人を管理する良い経験を得ました。これはすべて日本政府のおかげです。」

ハウシク・アンドレアスさんは、義母に貸与されたルンドゥ町の家庭菜園を訪れた際に初めて園芸の魅力を知りました。彼は教育を受けておらず、スキルもありませんでしたが、その貸与家庭菜園を手伝えば栄養価の高い食料を得る可能性が高まり、収入が増えるかもしれないと考えました。

「私は、日本の人々のおかげで実現されたBBB計画プロジェクトの受益者として今では家庭菜園を貸与され、私自身の食料として、さらには売ってお金を得るにも十分な量の季節野菜を育てています。」