UNDPはウガンダにおける課題と機会に関する知見を国連フォーラムと共有

2021年2月25日

日本の国連フォーラムとUNDPウガンダ事務所との間でブリーフィングの機会が設けられ、ウガンダにおける持続可能な開発に向けたプログラムと、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックへの対応について議論しました。

不平等の深刻化、失業率の上昇、基本的設備へのアクセス低下など、既に社会が多くの課題に直面している中で、パンデミックが発生しました。

UNDPの報告書「Integrated Solutions For Sustainable Development」によると、グローバルな保健危機により、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた進展が実際に停滞していることが分かります。また、同報告書は、COVID-19が開発の進展に悪影響を及ぼすと指摘し、パートナーシップの拡大や素早い行動を呼び掛けています。

このような行動への呼びかけに対し、日本の国連フォーラムは、ウガンダにおける持続可能な開発に対する理解を深めようとしています。同フォーラムでは、国内外の8,500人の専門家や学生を通じて、学んだことをを広めていく予定です。

議論を始めるに当たり、UNDPウガンダ事務所アクセラレーター・ラボのパートナーシップ・イノベーション・開発ソリューション専門官であるイノセント・フレッド・エジョルは、優先して介入すべき地域は、同国で最も貧しい地域の二つである北部と東部だと述べました。

「ウガンダは後発開発途上国に指定されており、現在4,000万人を超える人口のうち、21.4%が貧困ラインを下回っています。ウガンダを低所得国から中所得国に移行させることが依然として最優先課題なのです」とエジョルは語ります。

「構造改革、不平等、ガバナンスシステムの強化や人的資源の問題に取り組むことも、ウガンダの開発計画の枠組みの際立った特徴となっています」と続けます。

現在、女性(人口の51%)は経済的資産が限られている中で、若者(人口の18.4%)は高失業率に見舞われています。その他の懸念があるアジェンダとしては、高齢者、HIV/AIDS、母子家庭、難民と国内避難民、国境周辺や紛争の影響下にあるコミュニティが挙げられます。

国連による「The UN Socioeconomic Impact Report of Covid-19 in Uganda」によると、SDG1「貧困をなくそう」、SDG8「働きがいも経済成長も」、そしてSDG10「人や国の不平等をなくそう」の達成に向けた動きが減速しています。また、同報告書では、以下の予測をしています。

  • インフォーマルな中小・零細企業(MSME)の60%が廃業する見通し。
  • 労働者の46%超が貧困ライン以下に。インフォーマル・セクター、ホスピタリティ業、貿易業やサービス業に打撃(女性と若者への影響が最も深刻化)。
  • 全国的なロックダウン(2020年5月~6月)が始まって8週間のうちに190万人が貧困状態に。
  • 貧困率は2~8%増加の見通し。
  • 観光業は今後5年で50億米ドルの損失を被る見通し。

ウガンダの若者たちの失業の問題に対応するためのUNDPの取り組みについて、民間セクター専門家であるステファン・エンゲルスは、失業は生活の問題に留まらず、解決されなければ政治的問題へと発展するため、依然として課題が残っていると語ります。

「ウガンダは、雇用創出を阻害する深刻なシステミックな障壁に直面しています。主な障壁としてスタートアップ資本やスケールアップ資本へのアクセスが制限されていることが挙げられます。政府や開発パートナーは民間セクターと協働し、協調的に行動することが重要です」とエンゲルスは言います。

こうした動きは、変革をもたらす成長を刺激し、革新的で採算のとれる事業に対して手の届きやすい資金へのアクセスを改善、拡大させ、堅調な成長を若者の雇用創出へとつなげる上で必要不可欠であるとエンゲルスは指摘しています。

「民間セクターを関与させて革新的なアイデアを発案し、若者の雇用創出のみならず、若者が起業への道を見つける支援を行うことは、「Youth4Businessイノベーション起業ファシリティ」と呼ばれる旗艦プロジェクトの中心となっています。」

2020年8月にウガンダのムセベニ大統領が公式に設立したYouth4Bizは、UNDPがスタンビック銀行ウガンダとスタンビック・ビジネス・インキュベーターと連携して立ち上げました。その目的は、インパクト起因型の起業を推進し、イノベーションを育み、ビジネス・ソリューションを活用して若者の失業という課題に対応することにあります。

「Youth4Businessファシリティの中核には、若者2万人分のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を創出し、さらに5万人の若者を一新し、スキルを身に付けさせ、民間セクター

の需要に応えられるようにするという計画があります」とエンゲルスは言います。

国連フォーラムの参加者から、成長と環境問題に関する質問がありました。エンゲルスは、その質問に答える形で、「気候変動や自然に根差したソリューションは経済界が参入して役割を果たすべき方向性の一つであることは明らかです」と語りました。

UNDPアクセラレーター・ラボのイノセント・フレッド・エジョルは、「UNDPは、国連のシステムにおいて、ウガンダにおける開発アジェンダを推進する上で今後も重要な役割を果たしますが、SDGsを達成するには、より大規模な、マルチセクターによるパートナーシップや介入が必要」と結論付けました。

また、持続可能な開発を達成するために、UNDPの報告書「Integrated Solutions For Sustainable Development」では、自然、気候、そして経済の間の関係を調整するための、より多くの取り組みが必要であると指摘されています。

本セッションは、UNDPにとって、日本の指導的な若者グループとともに、ウガンダにおけるSDGs達成に不可欠な問題に対して理解を深める良い機会となりました。