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西アフリカ沿岸諸国におけるテロリズム・暴力的過激主義の防止と対策における国家及び市民社会の対応能力強化

2021年12月15日

アフリカ、特にサヘル地域では、テロリズム・暴力的過激主義が引き続き勢いを増しています。武装勢力や過激派による民間人や軍に対する無差別攻撃は特に懸念すべきものです。テロリズム・暴力的過激主義を防止・対処するため、沿岸諸国の国家治安当局と市民社会の能力や連携を強化する必要があります。国連開発計画(UNDP)は日本政府からの資金協力とコフィ・アナン国際平和維持訓練センター(KAIPTC)とのパートナーシップを通じ、西アフリカ沿岸諸国におけるテロリズム・暴力的過激主義を防止し、対抗する上で、国家と市民社会の能力を強化しています。

ガーナの市民社会組織(CSO)であるソンタバ(Songtaba)のラムナトゥ・アダム事務局長は、2021年11月22日から12月2日にかけてアクラで開催された2週間にわたる研修を終え、満足の意を表しました。同研修には、ベナン、ブルキナファソ、コートジボワール、トーゴとガーナから25人が参加しました。本研修は、西アフリカ沿岸諸国における暴力的過激主義・テロリズムを防止するため、主要アクターによる対応メカニズムを強化するものです。

「ソンタバ事務局長のラムナトゥ・アダムと申します。地域における暴力的過激主義・テロリズムの問題に直面する中、本研修は絶好のタイミングで開催されました。本研修を受講したことで、暴力的過激主義に関するさまざまな概念や、特に近隣諸国が講ずる必要がある対策の水準について、理解と認識が深まりました。

また、暴力的過激主義における女性と若者の役割や、どのようにして暴力的過激派やテロリストが彼らを容易に力ずくで徴用できてしまうのかについて知識が深まりました。

地域・国際レベルで講じられているさまざまな法的枠組みや政策、その実施を支える各原則について学びました。特に過激主義への対抗を巡る諸問題や、犯罪対策のために各国が実施している各戦略に関して、多様な国家レベルの経験が共有されたことは目を見張るものでした。

女性と子どもの権利を擁護する者として、今回学んだことを私のチームに共有し、私たちのプログラムの立案を変えていこうと思います。今後、私たちのプログラムでは、暴力的過激主義・テロリズムと闘い、特に過激派組織に徴用・誘惑される危険を回避するため、女性と若者の生活を改善する方法について考慮していきます。また、コミュニティー・レベルの組織と協力する戦略にも注目し、不審な個人や団体に対し警戒・報告するメカニズムを支援していきます。

ガーナにはすでに自警団法が存在することを認識しているので、自警団政策の効果的な実施のためのアドボカシー活動に参加し、女性と若者の脆弱性を軽減するために、政府が女性と若者のエンパワーメントに投資することを求めていきます。女性と子どもの権利を守る団体として、これまで以上に、平和と安定、そして法の支配の尊重というアジェンダを中心に活動していきます。」

アダム氏同様、コートジボワール女性行動者組織(Organisation des Femmes Actives de Cote d’Ivoire)のファンタ・ドゥンビア氏も、暴力的過激主義・テロリズム防止に関する研修は重要であると感じています。ドゥンビア氏は「帰国したらまずこの研修を組織のメンバーに共有します。そして、女性と若者がテロリズム・暴力的過激主義との闘いにおける役割に敏感になってもらえるようなプロジェクトを準備していきます」と述べました。

同様に、コートジボワールの入国審査官であるママドゥ・バンバ氏も本研修を高く評価しました。バンバ氏は「本研修は大変良いものです。質が高く、洗練されており、専門家が担当しています」と語りました。


本研修は「西アフリカ沿岸諸国におけるテロリズム・暴力的過激主義の防止と対策における国家及び市民社会の対応能力強化」プロジェクトの一環として実施されています。本プロジェクトは、日本政府から40万ドルの資金協力を受け、KAIPTCとUNDPがベナン、ブルキナファソ、コートジボワール、トーゴとガーナにおいて実施しています。本プロジェクトの期限は1年間で、2022年3月に終了する予定です。本プロジェクトでは、西アフリカにおける過激主義・テロリズムを防止し、対抗するための政策と実践に関する情報を提供するため、研究、ピアラーニング(協働を通じた相互学習)と能力開発を組み合わせています。