UNDPとGISDが「SDG投資家プラットフォーム」を設立、SDGs志向の投資を全世界で数兆ドル規模で促進

投資家はUNDP各国事務所のデータと知見の活用が可能に

2021年9月3日

「SDG投資家マップ」は、投資家が、高収益率が見込めると同時に、世界を変えられる可能性のあるインパクト/サステナビリティ領域を見極めしポートフォリオに組み込むのに役立つツール 写真:UNDP

ニューヨーク – 国連開発計画(UNDP)と国連事務総長の持続可能な開発のためのグローバル投資家(GISD)連盟は4月、持続可能な開発目標(SDGs)の推進に資する民間投資を促進するための革新的ツール「SDG投資家プラットフォーム」を立ち上げました。

OECDの最新データによると、開発途上国が「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の達成に向けて、今年必要とする資金は、4.2兆ドル不足するものと見られています。この不足額は、銀行や機関投資家、資産管理会社が保有する総資産のわずか1.1%を振り向けるだけで、充足することができます。

GISD連盟との連携で設立されたSDG投資家プラットフォームは、UNDPによるSDGs資金調達の取り組み「SDGインパクト」の取り組みの一環として策定されたSDG投資家マップに依拠しつつ、170を超える国と地域で活動するUNDPのネットワークを活用しています。民間投資家はここから、現地の投資環境や投資家同士のつながりに関する現地からの情報を含め、国別の市場戦略情報を入手できるようになります。

「SDG投資家マップ」は、投資家が、高収益率が見込めると同時に、世界を変えられる可能性のあるインパクト/サステナビリティ領域を特定し、ポートフォリオに組み込むのに役立つツールです。投資家マップはこれまでに、14カ国 [1] で200件以上の投資機会を明らかにしており、食品・飲料からヘルスケア、インフラに至るまで、収益性とSDGs達成に向けたインパクトの可能性がともに期待できる幅広い部門をカバーしています。SDG投資家マップの作成は、2021年と2022年にさらに拡大し、全大陸がその対象となる見込みです[2]。

アヒム・シュタイナーUNDP総裁は「UNDPの新たなSDG投資家プラットフォームは、SDGsの達成に向けて投資する資本をさらに高水準へと引き上げるために、投資家が必要とする重要データと情報、ツールを提供するものです。これは、各国がコロナ禍から一歩進んだ復興を遂げるために必要不可欠な資金を調達する手助けとなり、最終的には人と地球を良い状態に導くのです」と語りました。

GISDアライアンスのメンバーはその専門知識を活用し、投資家のニーズを理解して焦点を絞り、他のファンドや金融商品とつなげます。また、SDG投資家プラットフォームはSDGsを実現する投資のハブともなり、プライベート・エクイティ、債券、および企業・事業向けのSDGインパクト基準、デューク大学との共同設計によりオンラインで無料受講できる「インパクト管理・測定研修」(2021年第4四半期に公開される見込み)、GISDナビゲーターなど、多くの関連ツールが利用可能となります。

GISD連盟の共同議長を務めるアリアンツ(Allianz)のCEOオリバー・ベイト氏とヨハネスブルク証券取引所のCEOレイラ・フーリエ氏は、この協働的取り組みがSDGs投資環境の整備に大きく貢献することを指摘し、次のように述べています。

「透明性の向上と、需要と供給を一致させることが、SDG志向の投資を成功させるカギを握ります。SDG投資家プラットフォームは、すでにSDGsにコミットしているGISD連盟のメンバーだけではなく、志を同じくするすべての投資家や開発金融機関、政府にとっても貴重なリソースとなります。SDGsに沿った投資判断をする際にこのプラットフォームが役立つでしょう。」

SDGインパクト・プラットフォームの仮発表会は、開発資金に関する経済社会理事会(ECOSOC)フォーラムおよびSDG投資フェアと並行して行われました。SDG投資家プラットフォームは、民間連携機関をはじめとするステークホルダーからのコメントを受け、さらに強化される予定です。


UNDPについて:
UNDPは貧困や格差、気候変動といった不公正に終止符を打つためにたたかう国連の主要機関です。170か国において、人間と地球のために総合的かつ恒久的な解決策を構築すべく、様々な専門家や連携機関からなる幅広いネットワークを通じ支援を行っています。投資家や民間事業者、開発金融機関、国際金融機関、その他のステークホルダーの皆様で、ご意見・ご感想をお持ちの方は、sdginvestorplatform@undp.orgまで英語でご連絡ください。

GISDについて:
持続可能な開発のためのグローバル投資家(GISD)連盟は、世界の全ての地域の主要な金融機関や企業を率いる30人の著名なCEOから構成されています。持続可能な開発に向け、長期的な金融と投資を拡大するための具体的解決策を実施していくことを目的としています。


[1]アルメニア、ブラジル、コロンビア、ガーナ、インド、ヨルダン、ケニア、ナミビア、ナイジェリア、パラグアイ、ルワンダ、南アフリカ、トルコ、ウガンダ
 
[2] 投資家マップ策定中の国:ベリーズ、コスタリカ、ジブチ、インドネシア、ジャマイカ、マラウイ、スリランカ、ウルグアイ、タンザニア、中国
投資家マップ策定予定の国:アンゴラ、バングラデシュ、ベナン、カンボジア、カメルーン、ドミニカ共和国、エスワティニ、ガボン、ギニア、ラオス、フィリピン、タイ、トーゴ、チュニジア、ウクライナ、ベトナム、ザンビア