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アフリカは世界の気候と生態系の危機の最前線にあり、グリーン・トランジションに向けたコミットメントと投資を拡大する必要性が、かつてなく重要になっています。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)からの持続可能な回復という文脈の中、国際協力機構(JICA)、国連開発計画(UNDP)、国連工業開発機関(UNIDO)が第2回日アフリカ官民経済フォーラムに際して共催したサイドイベントには、ビジネスリーダーと産業界の関係者が参加し、気候変動に対するレジリエンスを備え、自然を活かすソリューションについて発表しました。このセッションは日本政府の成長戦略の柱に沿ったものであり、また2021年11月に開催された第26回締約国会議(COP26)で表明されたグローバルなコミットメントを踏まえて開催されました。

アフリカの炭素排出量はわずかですが、気候変動の影響を最も顕著に受けています。「世界は、自然と調和し気候バランスを取り戻す転機にあります。そのためには、協調した取組みが必要です。社会的影響を低減し公正なトランジションが行われるよう事業・投資戦略を打ち出し、持続可能な開発目標(SDGs)を実現する必要があります」と、UNDP Africa Finance Sector Hubのディレクター兼南アフリカ常駐代表のアヨデレ・オデュソラは強調しました。化石燃料から太陽光、水力、風力などの再生可能エネルギー源への移行、農業慣行の改善、海洋と森林の回復および保護といった取り組みの重要性に触れました。

シブサワ・アンド・カンパニー株式会社代表取締役の渋澤健氏は、アフリカへの事業投資の拡大は、包摂的な社会と長期的に持続可能な開発を伴う未来を確かなものとするために重要であると強調しました。「私たちはアフリカと日本の未来のために、アフリカへの投資を拡大する必要があります。そして私たちは、インパクトを持ってこれを行う必要があります。ここ日本には、アフリカで、また世界中で新たな価値創出に参画できる大企業、中小企業、新興企業があります。」

2021年4月、アフリカ開発銀行総裁は、アフリカにおいて新型コロナウイルスからの復興に向けた投資潜在力がある主要分野として、エネルギー、農業、インフラを特に取り上げました。アフリカでは太陽光、風力、水力、地熱のエネルギー源が豊富であり、エネルギー移行だけで年間1,000億ドルの投資機会があり、気候変動に対するレジリエンスを備えたインフラには、1,300億ドルから1,700億ドルの投資潜在性があると述べました。

アフリカ、日本、そして世界が、2022年にチュニジアで開催予定のTICAD8に向けた準備を進める中、JICA資源・エネルギーグループ課長、久下勝也氏は、アフリカのグリーン成長に向けたエネルギートランジションに対する日本の事業投資のコミットメントを強調しました。「JICAは、安定供給、エネルギーへのアクセス、ビジネスという3つの方向から、グリーンエネルギー開発の推進を継続します。この目的を実現するには、民間と公共セクターの協働が重要です。」

 

 

続いてパネリストが、SDGsに沿った取り組みに対するアフリカのニーズを支援し、雇用を創出しながら気候変動の影響を低減するグリーンビジネスの事業を紹介しました。風力発電、太陽光発電、Eモビリティ、気候変動に対するレジリエンスを備えた建物、ファイナンスを含む事例が紹介されました。

全世界に向けて革新的な風力発電機を展開している株式会社チャレナジーCSOの水本穣戸氏は、特に開発途上国で、13億人以上が電気へのアクセスを持たずに生活していることを強調しました。「化石燃料や原子力発電に依存することなくこうした課題を克服するには、革新的な風力発電を開発して、エネルギー転換を強化することが重要だと考えます」と、水本氏は説明しました。しかしながら、風力発電により化石燃料からの脱却を図れる地域でも、過酷な気候のため風力発電機が破壊される事例があり、特に熱帯低気圧(台風、ハリケーン、サイクロン)が頻繁に発生する地域や、極地に近く強風が吹く地域でよく起こります。チャレナジーは、強風域でも発電可能なだけでなく、風速70m/sまでの耐風性を持つ風力発電を新たに開発しました。

GOOD ON ROOFS専務理事の川口信弘氏は、革新的な太陽光発電ソリューションと持続可能な財務およびビジネスモデルを、日本とアフリカで推進することが事業の背景にあると述べました。同社は、最大の発電量を維持しながら輸送と設置がより容易な軽量のソーラーパネルを作成しました。このパネルは現在、30 MWの電力を供給しています。「電力網のようなインフラは、都市部では開発が進んでいますが、農村部では開発が遅れています。これは格差を生み出し、差別や対立につながる可能性があります。農村部の学校で太陽光発電を利用できれば、照明や通信、いずれは遠隔教育にも電力を利用できます」と川口氏は説明しました。同社のソーラーパネルはベナンの学校の屋根に設置され、学校で生徒達に照明を提供するだけでなく、家庭に持ち帰ることができる40万個の充電式ランタンのプロジェクトが実現され、20万人の子ども達が夜でも家で勉強できるようになります。

大幅な人口増加と都市化により、アフリカの建築物は2050年までに倍増すると予想されることから、GreenSquareMetreの創設者兼CEOであるシャニノミ・エリボ氏は、サブサハラアフリカ地域における「低炭素/グリーン」ビルディングへの移行の必要性を強調しました。同氏はプレゼンテーションでIFCのClimate Investment Opportunities Reportを引き合いに出し、ナイジェリアにおける1,700万戸の住宅不足が5,000億ドルを超える投資機会を示していることから、2030年までにサブサハラ地域のグリーンビルディングには7,680億ドルの投資機会があると明言しました。ナイジェリアおよびサブサハラ地域でグリーンビルディングの実践を主流にする取り組みの最前線に立つ企業として、財源ならびにグリーンビルディング技術と装置に関するパートナーシップを呼びかけました。

モロッコのEMOBの共同創設者であるハムザ・エル・バルーディ氏は、電動スクーターがアフリカの都市における炭素排出量削減に向けた道であると確信していると述べました。モロッコで使用されている燃料式スクーターは150万台と推定され、深刻な汚染原となっています。現地のEモビリティ・エコシステムは、地方自治体および国際パートナーであるアリアンツとの協力により成長し、財政支援によって人々は電動スクーターの利用が容易になりました。「当社は電動スクーターを取り巻く俊敏かつ迅速なエコシステムを現地および国際的なパートナーシップを通じて構築し、よりグリーン社会づくりを目指したいと考えています。」同社はアフリカ大陸全体にエコシステムを拡大することを目指しています。

アフリカにおける事業投資拡大に伴い、環境と天然資源の保護がますます重要になっています。「事業活動を通じた利益の大部分は、依然、天然資源の持続不可能な形での消費に大きく依存しており、投資や金融商品の多くが、環境影響を組み込んでいません」と、世界自然保護基金(WWF)のアフリカ地域ディレクターであるアリス・ルーウェザ氏は述べました。自然の価値および、財務・環境リスクとの関連性を実証することで、WWFとパートナーは、地球に害を及ぼす活動から資金の流れをそらし、資源を回復させる活動に振り向けることを目指します。たとえばザンビアではWWFが介入し、オランダ気候変動開発基金を通じて、景観保全のためのグリーンかつ利益を生む投資を推進しています。対象となるプロジェクトは、民間セクターが主導し、景観保全を推進するものである必要があり、商業・社会・環境的に利益をもたらすザンビア国内の事業に資金が提供されます。

 

 

UNIDO東京投資・技術移転促進事務所(ITPO)所長の安永裕幸氏は、アフリカにおいて既存産業と新規産業が拡大し発展する中、現在の技術力をよりクリーンな工業生産に活用する必要があると述べました。続いて同氏は、UNIDOのサステナブル技術普及プラットフォーム(STePP)が持続可能な産業化に貢献する日本の技術に関する情報を共有できるように設計されていると説明しました。エネルギー、環境、農業、保健医療分野で、開発途上国や新興国への技術移転を促進することを目的としたプラットフォームです。

SMBC日興証券の資本市場本部サステナブルファイナンス部長のチヴァース陽子氏は、世界やアフリカの気候変動に関する既存の投資・金融イニシアティブや手法、またギャップや機会について述べ、サステナブルボンド(グリーン/ソーシャル/サステナブル債、サステナビリティ連動債)の多様性とその発行メリットについて共有し、各発行体のサステナビリティへの意欲をめぐる、より詳細な議論につながりました。そして、アフリカの長期的な開発に、サステナブルファイナンス活用の可能性が有ることを示しました。

従来は気候や環境と関連していなかった社会セクターを含む、すべての政府開発援助支出において気候要因や環境要因を考慮することの重要性を強調しながら、三菱UFG銀行、欧州グローバルコーポレート営業部新興国チーム次長のクリストファー・マークス氏は、アフリカにおけるブレンド・ファイナンスの範囲を拡大する必要性に言及しました。同氏はまた、適応策や気候変動へのレジリエンス構築といったセクターを含む幅広い分野において民間金融関係者のより積極的な関与を促進するため、アフリカの地域開発金融機関への株式投資のような革新的取り組みを推進する日本のリーダーシップを提唱しました。

未開拓市場においてクリーンエネルギーと気候への投資を拡大することは、アフリカにおいて変革をもたらし得ると、SunFunderの戦略的パートナーシップ責任者であるニコ・チャブジ氏は説明しました。同社はアフリカにおいて、太陽光債券取引の創出と成立に関して最も豊富な実績を築き上げ、60社の太陽光発電会社に資金を提供してきました。SunFunderの投資はすべて、開発途上国および新興国に対するものであり、機関投資家、影響力のある投資家、および個人投資家からの1億4,200万ドルのブレンド・ファイナンスを設計し、成立させました。

アフリカ投資家グループ会長のヒューバート・ダンソ氏は、アフリカ・グリーンインフラ投資銀行(www.AfGIIB.com)のようなアフリカと日本の年金基金によるグリーン共同投資パートナーシップは、アフリカと日本の経済発展の共有に不可欠であり、TICAD8において投資家を動員しおよび民間セクター開発を推進するための主要な議題になると強調しました。

気候およびクリーンエネルギーに対する資金調達専門家のグローバルネットワークである、民間資金調達支援ネットワーク(PFAN)の地域コーディネーター、サヴェン・ナイドゥー氏は、同ネットワークでは新興市場において気候およびクリーンエネルギーのプロジェクトを開発している起業家に対し、無料のビジネスコーチングと投資促進を提供していると説明しました。PFANは広範な投資ネットワークとパートナーに支えられ、温室効果ガス排出量を削減するための資金を動員して、パリ協定およびSDGsの目標7(エネルギー)、9(産業)、13(気候変動対策)、17(パートナーシップ)に貢献しています。現在までに、約1,000件の事業を支援しており、パイプライン・プロジェクトは300件を超えます。

 

 

締めくくりにあたり、汎アフリカ商工会議所長のケブール・ゲンナ氏は、アフリカのエコロジカル・フットプリントは世界の他の地域に対してまだ比較的小さいものの、投資への関心の高まりに伴ってますます変化していると述べました。「したがって、成長が質の高いものであり、持続可能であり、アフリカの現在と未来の世代に利益をもたらすものであることが重要です。」同氏は、グリーン成長を主流とするために必要なのは、経済成長と現状の体系的な変更について再考し、経済発展に向けた、新しくより包括的な構造を開発することであると強調しました。

経済同友会アフリカプロジェクトチーム委員長の岩井睦雄氏は、アフリカと日本の間には非常に大きな共創の可能性があり、日本がビジネスと投資を通じてアフリカ大陸の社会問題に貢献できる機会は大きく、また、その推進に向け官民連携の果たす役割は大きいと強調しました。「アフリカにおけるグリーンビジネスと気候投資では、経済的利益を追求するだけでなく、社会問題の解決も考慮に入れるべきであると、私は信じています。日本からアフリカへの投資を加速し、アフリカとともに成長していくために、我々経済同友会は新たな官民インパクトファンドの設立を提言しました。投資拡大には官民連携が不可欠です。日本国内でのより一層の官民連携を共に促進していきましょう。」岩井氏は、2022年にチュニジアで開催されるTICAD8が、日本と手を携えたアフリカの持続可能な経済成長を加速させることへの期待を表明して締めくくりました。

最後に、UNDPのアヨデレ・オデュソラ氏は、同セッションで提示された多様な視点を要約し、気候変動に対する課題の増大に対処するとともに、SDGsのニーズとコロナ後の復興に対応するには、民間セクターが主要な役割を果たすと述べました。UNDPの民間セクター開発およびパートナーシップ戦略(2018年~2022年)は、各国が民間セクターの活動と投資を2030アジェンダに沿ったものにできるよう支援することを目的としています。あらゆる規模の投資家や企業に影響を与え、SDGsを意思決定と慣行に組み込み、複数のステークホルダーのパートナーシップを促進する一方で有効な政策および規制環境の確立できるよう政府を支援していきます。

 

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