HIV患者1人当たりの治療費、年間100米ドル以下を実現~経費削減により、さらに25万人のHIV治療が可能に

2015/11/27


国連開発計画(UNDP)は、調達しているHIV治療薬の大幅な値下げを実現しました。結果、赤道ギニア、ハイチ、マリ、南スーダン、ザンビア、ジンバブエでは、最も一般的な治療費用が1人当たり年間100米ドルと、かつてない水準にまで低下しています。UNDPはこの価格引き下げにより、2500万米ドルの経費を削減し、さらに25万人の命を救うHIV治療のために使われます。

UNDPは現在、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)を財源として、19か国でHIV対策助成金の実施を支援しています。このプログラムにより、HIV感染者220万人が救命用の抗レトロウィルス治療を受けています。

2000年の時点で、HIV治療薬のコストは患者1人当たり年間1万米ドルを超えていました。しかし、ジェネリック医薬品メーカーが治療薬の供給を始めると、費用は1年以内に年間350米ドルへと大幅に低下。以後も、品質が保証されたジェネリック医薬品メーカー間の健全な競争のおかげで、治療薬の価格は1人当たり年間150米ドルへと、さらに低下を続けました。こうした大幅な価格低下により、治療を受けられるHIV感染者の数は、15年前のわずか70万人から1580万人へと急増しました。

UNDPが実現した治療薬の年間100米ドル以下への値下げは、TLE(テノフォビル、ラミブジン、エファビレンツ)と呼ばれる3つのHIV薬による多剤併用療法を採用したためです。世界保健機関(WHO)が推奨するこの投薬法は、最も広く用いられているファーストラインの抗レトロウィルス療法です。

UNDPによる幅広い取り組みは、各国や医薬品メーカーとの長期契約と調達計画の改善のほか、大量発注による割引、まとめての発注、輸送費・取扱費の低減にもつながっています。また、メーカー間の競争激化によって、供給基盤が拡大したほか、グローバルファンドや国連児童基金(UNICEF)、WHOをはじめとするパートナーからの支援も広がっています。

このコスト節減により、各国がより多くの人に治療を施し、命を救うための資金が生まれています。治療を受けられる人数が増えれば、新規感染数の削減や、2030年までに公衆衛生への脅威としてのエイズに終止符を打つという持続可能な開発目標(SDGs)の達成にもつながります。

UNDPが2014年から2015年の長期契約に基づき調達したTLE薬の金額は、1億5000万米ドルに達しました。薬価の低下などのおかげで削減できた経費は、現在までに計2500万米ドルに上ります。この節減によって、さらに25万人に投与するHIV薬の購入が可能になりました。この人数は英国、ドイツ、フランスのHIV感染者数の合計に相当します。

特筆すべき成功事例として、現在ジンバブエ保健・子ども福祉省は、UNDP、グローバルファンド、米国大統領緊急エイズ救済計画(PEPFAR)、英国国際開発省(DFID)の支援を受け85万人にHIV治療をしていますが、この数は来年、100万人に達する見通しです。

UNDPは今回の調達で、ジンバブエ向けに治療薬480万箱を4000万米ドルで購入しましたが、これは前回の調達金額を1100万米ドル以上、下回っています。この経費削減により、ジンバブエではさらに11万人が新たにHIV治療を受けられるようになりました。この人数はフランスとスウェーデンのHIV感染者の合計に相当します。

費用の節減は、環境のためにもなっています。今年は200件を超える医薬品の出荷が、空輸に代わる海上・陸上貨物輸送の利用を含め、輸送費を最適化する新たな仕組みを通じて行われました。治療費と二酸化炭素排出量の同時削減により、さらに多くの人々が救命治療を受けられるという、まさに一石二鳥の効果が生まれているのです。

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