UNDP総裁 TICAD7にてアフリカ開発とSDGs達成に向けた民間セクターの重要性を強調

プレスリリース

2019年8月30日

国連開発計画(UNDP)、日本政府、アフリカ連合委員会(AUC)、世界銀行、および国連が共催者を務める第7回アフリカ開発会議(TICAD7)が、「アフリカに躍進を!ひと、技術、イノベーションで。」のテーマの下、8月28日から30日まで横浜で開催され、本日閉幕しました。UNDPからはアヒム・シュタイナー総裁ならびにアフナ・エザコンワ アフリカ局長をはじめとする一行が会議に参加しました。

シュタイナー総裁は、「アフリカの開発と持続可能な開発目標(SDGs)達成に向け、民間セクターが果たす役割は非常に大きく、社会・経済構造改革を遂げ、SDGsを達成するためには、ビジネス、社会および政府など、ありとあらゆるセクターが総動員で取り組む必要があります。UNDPは、特に我々の開発支援の中心であるアフリカ諸国において、SDGsの達成につながる活動への民間投資を促進し、その可能性を探求する取り組みを支援していきます」と語りました。

会期中、シュタイナー総裁は、日本とアフリカの公的・民間セクター、国際機関および市民社会などで課題解決に向けた発想や思考を主導する第一人者たちとの対話を重ねました。また、TICAD7のテーマに沿う形で、イノベーションとビジネスを通じた経済構造改革、持続可能かつ強靭な社会の推進、および平和と安定の重要性を強調しました。

TICAD7では、アフリカの包摂的かつ持続可能な社会経済構造改革に向けた革新的な解決策を、ビジネスを通じて創出する方法が重点的に議論されました。開発途上国では、民間セクターがGDPの6割、雇用の9割、そして資金流入の8割を占めています。豊富な資源と人口増加をテコに成長を続けるアフリカ大陸には、世界経済のうち最も成長速度が早い10カ国中6カ国が位置しています。しかし、SDGs面では進展も見られる一方で、SDGs達成に年間6千億ドルから1兆2千億円が不足していると見られています。

3日間の会議を終え承認された「横浜行動計画2019」で、UNDPは社会経済構造改革に向けた鍵である若者と女性を含む人材および起業家の育成の強化を約束しました。また、シュタイナー総裁は、世界から取り残されている人々も繁栄を共有し利益を得られるよう、デジタル技術に力を入れ、情報と金融へのアクセスを改善しようと訴えました

その具体策としてUNDPは、世界60カ所に「アクセラレータ・ラボ」を設置し、78カ国(うち36カ国がアフリカ)の課題解決に乗り出しました。同ラボでは複雑な課題に対する新しい解決策を試用・拡散し、相互に学び合うことでSDGs達成を加速します。UNDPは人々の暮らしの改善に必要な知識や経験、資源を各国に繋げるインテグレーターの役割を果たしていく所存です。

シュタイナー総裁は、次のように述べています。「民間セクターはとても重要な開発のパートナーです。今一番の問題なのは、資金がないということではなく、資金があってもそれを現場の画期的なアイディアに結びつけることが難しいということです。公的・民間セクターの知見、ネットワーク、そのほか全ての資源を全て活用し、相乗効果が生まれるようにする必要があります。」

日本とアフリカの民間セクターが「ウィン・ウィン」のパートナーシップを結び、SDGs達成に向けビジネスを通じた解決策を生み出せるよう、UNDPはTICAD7会期中に、新たな協力枠組みを2つ立ち上げました。 一つ目は国際協力機構(JICA)と日本貿易振興機構(JETRO)との三機関連携で、中小企業を主眼に置いています。署名式には、北岡伸一JICA理事長および佐々木伸彦JETRO理事長が参加しました。もう一つは、経済同友会との連携で、アフリカにおける日系ビジネス界の取り組み促進を呼びかけるものです。この二つの連携枠組みにはUNDPを代表してアフリカ局長のアフナ・エザコンワが署名を行いました。

シュタイナー総裁はさらに、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)やデジタル経済、地方自治体でのSDGs推進に関するサイドイベント、および日本とアフリカのスタートアップ企業がビジネスピッチングを行うイベントに参加しました。SDGsに関する先進的な取り組みで知られる神奈川県とは、シュタイナー総裁と黒岩祐治神奈川知事の間でSDGs達成に向けた日本国内での自治体の取り組み強化に関する連携趣意書を結びました。

TICAD7開幕前、シュタイナー総裁は革新的資金調達およびSDGs達成に向けた経営に関するUNDPと経済産業省との初の共催セミナーに登壇。同イベントは経団連の後援を受け、関芳弘経済産業副大臣の挨拶で始まりました。

日本はUNDPにとって重要なパートナーであり、その拠出額は3億4,600万ドル(2018)と各国政府の中で二番目に大きな額に上っています。訪日中、シュタイナー総裁は安倍晋三首相、河野太郎外務大臣、山下貴司法務大臣、平井卓也IT・科学技術担当大臣などと面会し、TICAD7の成功を祝すとともに、人間の安全保障、世界の保健課題、防災、法の支配、イノベーションなどの重要課題に長年支援を続けてきた日本に謝意を述べました。