UNDP、新型コロナウイルス(COVID-19)のデータダッシュボード発表 〜各国の対応・復興力に大きな格差〜

189カ国における貧困度、医療水準、インターネット普及度、社会保障の充実度などの指標が、新型コロナウイルスによる影響の深刻度を反映する可能性

2020年4月29日

バングラデシュのコミュニティワーカーが貧困地区で新型コロナウイルスの予防方法などを広め、消毒パッケージを配布しているところ Photo: UNDP Bangladesh/Fahad Kaize

ニューヨーク、2020年4月29日 – 国連開発計画(UNDP)は本日、新型コロナウイルス(COVID-19)危機に際する各国の対応・復興能力を示す2つのデータダッシュボードを新たに発表しました。この報告により、国家間では大きな格差があることが明らかになりました。

新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)は、単なる世界的な医療の緊急事態にとどまらず、人間開発全体にまたがる危機として、開発の経済的、社会的側面に未曽有の影響を及ぼしています。個人と社会がこのようなショックをうまく乗り切り、復興を遂げるためには、長期的にも短期的にも、脆弱性を低下させ、危機対応能力を高めるための政策が欠かせません。

各国の新型コロナウイルス対応への備え

UNDPのダッシュボード1:準備態勢は189の国別に、開発水準、格差、医療水準、インターネットへの接続状況などの指標を用いて、新型コロナウイルスのような危機による多様な影響に国家としてどれだけ対処できるかを評価しています。 危機に対する脆弱性はどの社会にもあるものの、その対応能力には国家間で大きな差が見られます。 例えば、人間開発最高位グループに属する最先進国では、人口1万人当たり平均で病床数が55床、医師が30人以上、看護師が81人を数えるのに対し、後発開発途上国では、病床数が7床、医師が2.5人、看護師が6人にとどまっています。 また、都市封鎖(ロックダウン)が広がる中で、デジタル格差もこれまで以上に大きく開いています。世界人口の85.5%に相当する65億人は依然として、安定したブロードバンドインターネットにアクセスできません。このことにより、仕事や教育の継続に制限が生まれています。

新型コロナウイルスのような危機に対する各国の脆弱性

準備態勢を整えることは大事ですが、実際に危機に見舞われた場合、各国はその影響をどれだけ受けやすいのでしょうか。UNDPのダッシュボード2:脆弱性は、様々な指標を用いて、各国が今回の危機による影響をどれだけ受けやすいかを示しています。

すでに貧困に陥っている人々は、特に大きなリスクにさらされています。近年は貧困削減が進んできたものの、世界人口の4人に1人は依然として多次元の貧困を抱えているか、これに陥りやすい状態にあるほか、社会保障をまったく受けられない人々も40%を超えています。

新型コロナウイルスの世界的大流行により、一つの地点で発生した混乱は広がりやすく、他の場所でも問題を引き起こすということが再認識されています。例えば、キルギスなどの国は、GDPの多くを海外からの送金に依存しています。また、モンテネグロやモルディブ、カーボベルデなど、観光への依存度が高い(例えばモルディブではGDPの60%近く)国も多くあり、渡航規制やロックダウンによって深刻な影響を受けています。


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データダッシュボードについて:
ダッシュボードの色分けされた表は、各国の新型コロナウイルス危機への対応準備度と脆弱性を示し、指標ごとに各国は部分的にグループ分けされています。それぞれの指標につき、各国はほぼ同じ大きさの5つのグループに分けられていますが、これは相対的な実績を大雑把に評価できるようにすることが目的であり、各指標について閾値や目標値を設定するものではありません。最上位5分の1に属する国は、他の8割の国よりも優れた実績を上げており、中間に属する国は、下位40%の国よりは優れているものの、上位40%の国には劣っています。5段階の色分けにより各国のグループ区分を可視化することで、一連の指標に基づいた国別の実績を簡単に把握できるようになっています。これらの表に示されたデータの出典は、公式の国際的な情報源に由来しています。

ダッシュボード(英文)はこちらから:http://hdr.undp.org

UNDPについて
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