UNDP、プライベート・エクイティファンド向けの新指針を発表

SDGs達成に向けたインパクトに重点

2020年10月19日

SDGインパクト基準は、インパクトの管理と意思決定に重点を置きながら、ファンドが持続可能な開発に貢献できる方法に関する指針を提供しています。写真:UNDP/Fay Daoud

ニューヨーク – 国連開発計画(UNDP)は、プライベート・エクイティ(未上場株式)ファンド(PEファンド)が持続可能な開発目標(SDGs)にどのように貢献できるかを定めた投資の基準を発表しました。SDGsは、世界がすべての人にとってより良く、持続可能な未来を達成するための青写真です。

株主に還元できる価値のみを最大化するという旧来の目標にとどまらず、さらに先を見据える企業が、日ごとに増えています。こうした企業は、質の高い仕事の供給や医療アクセスの拡大、技術を活用した飲み水の供給や自然保護、衛生技法の改善、分散型のエネルギー・モデルに至るまで、プラスの影響を及ぼせる具体的な方法を求めています。しかし、PEファンドのような機関が、目的意識をどのように行動に変えられるのかという問題については、これまで長い間、知識と明確な指針に大きなギャップがありました。

新たに発表された「プライベート・エクイティ(PE)ファンドのためのSDGインパクト基準」は、PEファンド、ベンチャー・キャピタル、その他の民間ファンドが投資を通じ、社会的および環境的に大きなインパクトを及ぼせるよう、明確なシステムと共通言語の概要を定めています。

基準を策定したSDGインパクト部長のエリザベス・ボッグス・ダビッドセンは次のように語っています。「PEファンドは世界各地で、新たな解決策を開発する成長企業に直接投資を行っています。この基準は、およそ4兆米ドルに上るPEファンドの巨額な資金を、医療や貧困、不平等、気候変動、環境破壊、平和と正義をはじめとした、私たちが直面する巨大な地球規模課題への取り組みを支援できる持続可能な投資や解決策へさらに重点的に投入するための価値あるツールです」

今回の基準を策定した「SDGインパクト」は、SDGs達成に向けた投資家と企業の貢献を支援、認証するために必要な明確な情報、知見およびツールを提供するため、UNDPが立ち上げた画期的な取り組みです。国連環境計画(UNEP)と、企業のサステナビリティに関する世界最大のイニシアチブである国連グローバル・コンパクト(UNGC)も、SDGインパクト基準はSDGs(別名グローバル・ゴールズ)の達成の加速に寄与する実践的なツールであるとして、今回の発表を歓迎しています。

アヒム・シュタイナーUNDP総裁は次のように述べました。「私たちは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)に対して民間セクターがいち早く立ち上がって対応し、また、技術やイノベーション、技能、サービス、雇用の提供を提供したことで、そのリーダー的役割を目の当たりにしました。そして今、民間セクターは再び、世界の当面の復興だけでなく、さらに先のより良い発展も支援するために重要な役割を担うことになります。この新しい基準は、これからの数か月、さらには数年間にわたる重要な時期に、PEファンドがその投資にSDGsを全面的に組み込むための支援となるでしょう。」

UNDPが専門家と協力して策定した今回の基準は、インパクトの管理と意思決定に重点を置きながら、ファンドが持続可能な開発にどのように貢献できるかについて、明快な指針を提供しています。また、最大限の柔軟性確保を念頭に作られているため、規模、発展段階、活動場所に関わらず、世界のあらゆるファンドが利用できるようになっています。また、投資家も、SDGsとのさらなる効果的な整合を図るための自己評価ツールとして、SDGインパクトツールを使うことができます。

エリザベス・ボッグス・ダビッドセン部長は、「コロナ禍を受け、世界は急速に変化しており、人々の間では、経済と私たちの暮らし方、そして社会的・環境的リスクの相互作用に対する認識が高まっています。私たちがこれから行う消費、雇用、ビジネス、投資決定の中心にインパクトを据えれば、さらに持続可能な成果を推進できます。私たちは結局のところ、投資家がより多くの情報に基づいて持続可能な選択を行い、SDGs、そして人間と地球にとってより明るい未来に向けて多額の資金を投入するために、この基準が役立つものと確信しています」と語っています。

「PEファンドのためのSDGインパクト基準」の補足として、優良事例の認定を目的とする「SDGインパクト認証」などの自主的認証の枠組みも設けられる予定です。SDGインパクト基準には今後、債権と事業のための基準も追加されますが、その中身についてはいずれも、現在協議プロセスが行われています。