新型コロナウイルスからの復興には、ユニバーサルな健康保険、セーフティーネットと手頃なインターネットアクセスの提供が必須

2020年5月13日

中国で始まった大規模生産業の混乱は財やサービスの供給を減少させ、労働時間を減らし、収入の低下を導いています。写真:UNDP 中国

タイ、バンコクー4月28日:国連開発計画(UNDP)の新しい報告書「アジア太平洋における新型コロナウイルスの社会経済的影響に関するポジションノート(英語)」は、各国が新型コロナウイルスのパンデミックから復興するためには、政府は大幅に政策を見直し、公衆衛生、経済刺激策、社会的セーフティネットに投資をしなくてはならないと警鐘しています。

本経済報告書では、既存の解決策のパッチワークは機能しないことを警告し、したがって各国政府は復興を早めるためにお互いに協力しあう必要があると指摘しています。これはグローバルな危機であり、自国中心の働きは選択肢にないと強調されています。

さらに、アジア太平洋地域における国々に対して、パンデミック前の環境的に持続不可能な開発経路に戻ることを避け、よりよい未来を築くための機会を利用するよう呼びかけています。

新報告書は、政府と人々の間における新しい人権に基づく公平公正な社会契約を主張し、広範に届けられるユニバーサルな健康保険と、手頃なデジタル接続へのアクセスを備えた社会的セーフティネットを提唱しています。

国連事務次長補兼UNDPアジア太平洋局長のKanni Wignarajaは、「私たちは医療危機の差し迫ったニーズに集中しなくてはならない一方で、付随して発生している経済的、社会的な危機に対しても緊急の注意が必要です。また、この報告書における大胆な提案は、違う明日を作るために、今日異なる選択を提案することで、複数のショックをまとめて対処しています」と述べています。

どちらの危機も多くの人々を犠牲にしていますが、特にケアの大きな負担や危機が女性の肩に偏ってのしかかっています。報告書は政府と企業に対して、より持続可能で強靭なサプライチェーンの構築へ投資することと、循環型および共有型の経済を強化することを呼びかけています。報告書によると、これによって環境と生態系に対して負荷を軽減しながら歩んでいくことができます。

報告書は、アジア太平洋におけるパンデミックからの社会経済的復興をサポートする国連の活動に貢献しています。これは人命を救い、ウイルスの拡散防止のための医療システムを即時に強化するための政策やアクションを呼びかけます。特に、最も被害を受けるであろう脆弱な人々に対して、所得の維持のための社会保護策の急速な拡大も促進しています。また、取られた政策に関する定期的な公共のコミュニケーションは人々の政府に対する信頼を高めることも付け加えられています。

各国政府は公衆衛生を強化するため、また予算に莫大な負担がかかる経済刺激策と社会的セーフティネットのために莫大なリソースが必要となります。この課題に対応するべく、報告書は政府に対して予算収入、支出と資金調達に見合った優先順位の見直しを要請しています。予算の見直しは負担ですが、この緊急事態に対処し、財政赤字と公的債務の急増を管理可能なレベルに抑えるためには必要不可欠です。

世界の密接に関わり合う性質を考慮し、報告書はパンデミックと経済危機の二つのグローバルな緊急事態は世界的な対応が必要であると強調します。世界的な協力と連帯は、共有される持続可能かつ強靭な開発経路の図式化のために必要不可欠なものです。どの国もこれを自力で達成することはできないからです。

特に大切な一手は、「財政シロアリ」と呼ばれる、国家予算を損なう長期にわたる課題を共同で解決することです。これは税制競争、移転価格やタックスヘイブンを介した脱税、莫大な化石燃料補助金およびデジタル経済への課税方法の発見です。

さらなる段階では、たとえ人間にとっての国境は閉ざされたままでも、医療品や食品などの必需品から始め、商品の貿易を再開することと、立ち往生している移民や避難民の動きを効果的に調整していくことを含みます。


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