海上犯罪取締官を対象とする新たな能力育成プロジェクトが発足

2020年5月29日

Photo: Ghana Navy

コフィ・アナン国際平和維持訓練センター(KAIPTC)はこのたび、国連開発計画(UNDP)とのパートナーシップにより、日本政府からの資金拠出を受け、コートジボワール、ベナン、ガーナ、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネ、トーゴの海上犯罪取締官の技術的能力育成を図る1年間のプロジェクトを開始します。

この新しい「ギニア湾における安全と安心のための海上警備能力育成」プロジェクトは、ギニア湾での海賊行為を含む海上犯罪を取り締まることを目的に、調査と能力育成を通じて関連の地域的・国際的手続きの実効的な履行を図るものです。

姫野勉・駐ガーナ日本国特命全権大使は、このプロジェクトの重要性について、次のようにコメントしています。「ギニア湾沿岸諸国では、海賊による攻撃のほか、強盗や拉致などの犯罪も発生しており、これによって域内の海路の安全が損なわれています。これに取り組むためには、海上警備に携わる職員の能力を強化し、地域の安全改善を支援する必要があります。今次プロジェクトのアイディアと目的は、2019年の第7回アフリカ開発会議(TICAD7)で安倍総理が提唱した『アフリカの平和と安定に向けた新たなアプローチ(NAPSA)』とも、しっかりと整合しています。」

プロジェクトでは、税関や海上・沿岸警備隊、警察、憲兵隊、海軍、海洋観測センターを含め、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の国内・地域海事機関の職員約90人を対象に、訓練コースを実施します。この訓練コースは、アフリカにおける海上犯罪発生率の削減を目指すアフリカ連合の2013年ヤウンデ行動指針をはじめとする法律・政策文書を活用しながら、地域的、国際的なベストプラクティスを統合したものとなります。

KAIPTC司令官のフランシス・オフォリ少将は「私たちKAIPTCは、調査に裏づけられた訓練が、情報の共有や、ステークホルダーが域内海域の治安を改善できる能力の構築を目指す取り組みを支援することになると期待しています」と語っています。

この新規プロジェクトを補完するものとして、ギニア湾の海上犯罪の性質と程度を評価するための調査も行います。この研究は、海上犯罪対策を通じ、持続可能な開発目標(SDGs)、特に平和と制度強化に関する目標16の達成に寄与することが期待されます。また、違法漁業を取り締まることにより、持続可能な開発のために海洋と海洋資源を保全し、持続可能な形で利用することを目指す目標14の達成も推進します。

ジータ・ウェルチUNDPガーナ常駐代表代理は「海上警備は経済活動と開発に欠かせません。ギニア湾岸では治安が悪化しているため、海賊行為やその他の脅威と闘うための緊急行動が必要となっています。KAIPTCや日本との継続的パートナーシップは、スキルや機関間の実務関係、犯罪対策を目指す治安部隊間の協力の改善をねらいとしています」と指摘しました。

海賊行為や海上での船舶強盗、石油略奪、身代金目的での拉致、さらには薬物や兵器の密輸は、ギニア湾での暴力的無秩序の火に油を注いでいます。2019年の国際海事局報告によると、世界全体で海路の治安が改善へと向かう中で、ギニア湾水域は人質に取られた全乗組員数の86%、乗組拉致事件の82%近くを占めています。

今回の海上警備能力育成プロジェクトは、海上警備に携わる職員のノウハウの強化につながる一方で、プロジェクトによる調査結果は、ギニア湾岸諸国における海上犯罪への取り組みに向けた政策的方向性を決定する際の参考にもなるでしょう。


取材をご希望の方は、下記にお問い合わせください。

在ガーナ日本国大使館:総務・儀典・政務班長 唐元健太
メール:kenta.karamoto@mofa.go.jp 電話:+233-30-276-5060

KAIPTC: Mrs. Rosemond Aryeetey, Head of Corporate Affairs
メール: Rosemond.Aryeetey@kaiptc.org
携帯:+ 233-244 64 27 94

UNDP: Ms. Praise Nutakor, Communications Analyst, UNDP Ghana
メール:praise.nutakor@undp.org
電話:+233-302-215670(内線5690)または+233-501323566


NAPSAについて:
日本のアフリカへの貢献 – 平和と安定 日本は「アフリカの平和と安定に向けた新たなアプローチ(NAPSA)」を通じ、経済成長や投資だけでなく、暮らしを改善するための前提条件である平和と安定に向けたアフリカの未来志向の取り組みを支援していきます。日本は特に、着実で長期的な人材育成に注力しています。
TICAD7: Japan’s contributions for Africa (pdf) (5頁を参照)

KAIPTCについて
コフィ・アナン国際平和維持訓練センター(KAIPTC)は、平和活動におけるガーナの国際的に定評ある経験と能力を土台に、これをECOWAS域内諸国やアフリカのその他地域と共有するために設立されました。同センターでは、平和支援活動、紛争管理、平和・安全研究という3つのテーマ領域で訓練コースを実施しているほか、こうした分野で修士課程と博士課程も運営しています。KAIPTCには、平和と安全というテーマ領域で調査を実施する世界有数の調査部があります。センターが設立した「女性と平和・安全研究所(WPSI)」は、アフリカがマプト議定書を全面的に履行し、安全保障理事会決議1325や、アフリカ関連の女性と平和、安全に関する決議の実施を支援できる能力の構築に努めています。KAIPTCについてさらに詳しくは、www.kaiptc.orgをご覧ください。また、Facebookとtwitterで@Kaiptcghを、インスタグラムで@Kaiptcをフォローしてください。

国連開発計画(UNDP)について
UNDPは貧困や格差、気候変動という不公正に終止符を打つために闘う国連の主要機関です。170か国において、人間と地球のために総合的かつ恒久的な解決策を構築すべく、様々な専門家や連携機関からなる幅広いネットワークを通じ支援を行っています。
UNDPガーナ事務所についてさらに詳しくは、www.gh.undp.orgをご覧ください。