気候変動に関する世界最大の世論調査: 大半の回答者が広範な対策を要望

オックスフォード大がデータ処理を行ったUNDPの「みんなの気候投票」の結果は、世界人口の過半数の意見を反映。コロナ禍にもかかわらず、回答者の64%は気候変動をグローバルな緊急事態と認識

2021年1月29日

Photo: UNDP Bhutan

ニューヨーク、2021年1月27日 – 気候変動に関する世界最大規模の世論調査「みんなの気候投票(Peoples’ Climate Vote)」の結果が27日、発表されました。世界人口の過半数を占める50カ国を対象とするこの調査には、気候変動に高い関心を寄せながらも、通常選挙ではまだ投票権のない18歳未満の若者50万人以上も含まれています。

この革新的な世論調査をオックスフォード大学との連携で実施した国連開発計画(UNDP)は、年齢、ジェンダー、学歴別の詳細な調査結果を世界各国の政府と共有することになっています。気候変動の問題に関する大規模世論調査が行われるのは、今回が初めてになる参加国も多くありました。11月に英国のグラスゴーで開かれる国連気候サミットで、一連の重要な交渉が予定されている2021年は、各国が気候変動対策への決意を固めるうえで重要な年となります。

今回の調査では、気候変動をグローバルな緊急事態とみなすかどうか、また、経済、エネルギー、輸送、食料と農業、自然、人々の保護という6つの行動領域で18の主要な気候政策を支持するかどうかという質問への回答が求められました。

調査結果を見ると、人々はしばしば、現段階の状況を越える幅広い気候政策を望んでいることが分かります。例えば、電力部門からの排出量が最大となっている調査対象国10カ国のうち8カ国では、大半の回答者が再生可能エネルギーの活用増大を支持しています。土地利用の変化に起因する排出量が最大であり、かつ、政策選好に関する十分なデータが得られる5カ国のうち4カ国でも、大半の回答者が森林と土地の保全を支持しています。最も人口の都市化が進んだ国々の10カ国のうち9カ国では、クリーンな電気自動車やバス、自転車の利用拡大に対する支持も見られました。

アヒム・シュタイナーUNDP総裁は「調査結果は、緊急の気候変動対策が国籍、年齢、ジェンダー、学歴を問わず、全世界の人々から幅広い支持を受けていることをはっきりと示しています。しかし、調査はそれにも増して、人々が政策立案者に危機へのどのような取り組みを求めているのかを明らかにしています。気候に優しい農業から自然の保護、さらには新型コロナウイルス感染症(COVID-19)からのグリーン復興に至るまで、調査は人々の声を気候変動に関する議論の前面に押し出しています。また、私たちが力を合わせてこの重大課題に取り組む中で、各国が世論の支持を得ながら前進できる方法も示唆しています」と語っています。

今回の革新的な調査は、18歳未満の若者など、従来の世論調査では対象となりにくかったオーディエンスも取り込めるよう、モバイルゲームのネットワークを通じて展開されました。オックスフォード大学の調査専門家は、対象国の年齢、ジェンダー、学歴別人口構成を反映するよう、膨大なサンプルの加重平均を行い、誤差の範囲を2%程度に抑えることに成功しています。

気候変動対策については幅広い支持が見られましたが、最も人気の高い政策としては、森林と土地の保全(市民の54%が支持)、太陽光、風力、再生可能エネルギー源による発電の増大(53%)、気候に優しい農業技術の採用(52%)、グリーンビジネスとグリーン雇用への投資増大(50%)が挙げられます。

オックスフォード大学社会学部のステファン・フィッシャー教授は「気候変動に関する世論調査としては過去最大となった今回の調査では、モバイルゲームのネットワークで多くの人々から回答を得られるだけでなく、さまざまな国家群の異なるタイプの人々に働きかけを行えることも明らかになりました。『みんなの気候投票』は、私たちがこれまで見たことのない世論に関するデータの宝庫を探り当てたのです。気候緊急事態に対する認識は、これまでに考えられていた以上の広がりを見せていました。私たちはまた、ほとんどの人々が強力で幅広い政策対応をはっきりと望んでいることも突き止めました」と述べています。

今回の調査は、回答者の教育水準と気候変動対策の要望との間に、直接的な関係性があることを示しています。大学で学んだ人々の気候緊急事態に対する認識が極めて高いという傾向は、ブータン(82%)やコンゴ民主共和国(82%)のような低所得国から、フランス(87%)や日本(82%)のような高所得国に至るまで、すべての国で共通しています。

年齢別に見ると、若者(18歳未満)のほうが年長者よりも気候変動を緊急事態と見る傾向が強くなっています。とはいえ、他の年齢層の認識度もさほど低いわけではなく、18〜35歳で65%、36〜59歳で66%、60歳以上で58%となっており、この認識が幅広く広がっていることを示しています。

みんなの気候投票(Peoples’ Climate Vote)のフルレポートはこちらから


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