国境地帯における貿易がリプタコ・グルマ地域における平和の原動力に

2021年5月18日

右からゼイヌ・ウマール チームリーダー兼シニア・テクニカル・アドバイザー、加藤正明在ブルキナファソ日本国特命全権大使、セイドゥ・イルブロ商務工業工芸大臣、イザベル・ツチャンUNDPブルキナファソ常駐代表代理

2021年4月28日 ブルキナファソ・ワガドゥグ、国連開発計画(UNDP) Africa Borderlands Centreの地域プロジェクト「平和の定着のための国境貿易」が立ち上げられました。同プロジェクトは、日本政府による資金提供の下、ブルキナファソ、マリ、ニジェールの国境地域で実施されます。同プロジェクトの目的は、国境貿易の拡大を通じた経済統合の深化、国境コミュニティ間の相互理解の醸成、食糧安全保障の強化、生計の改善、特に女性や若者の収入機会の拡大を通じ、平和構築や社会的結束を強化することです。

UNDP Africa Borderlands Centre(ケニア・ナイロビ所在)のゼイヌ・ウマール チームリーダー兼シニア・テクニカル・アドバイザーは、同プロジェクトは、国境コミュニティに対して新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する緊急支援を提供するほか、貿易と対話の拡大を通じて国境コミュニティ間の経済統合を促し、リプタコ・グルマ地域におけるレジリエンスと人間の安全保障を推進する長期プログラムを発展させる土台を築くと述べました。

紛争がリプタコ・グルマ地域における生活や生計に及ぼす影響は壊滅的です。2020年の最初の9か月間で、G5サヘル諸国(ブルキナファソ、マリ、モーリタニア、ニジェール、チャド)では暴力事件が1,200件発生し、2018年の960件から増加しました。国境地域の3地域では、テロ攻撃の頻度が増加し、多発しています。COVID-19による国境閉鎖や、気候変動による資源不足により、主に移動しながら収入を得ているこの地域の人々は、身動きが取れないように感じています。

開始式におけるスピーチで、加藤正明在ブルキナファソ日本国特命全権大使は、日本は「コミュニティのレジリエンスを強化することは地域の持続的な平和に不可欠」と考えていると述べ、「サヘル地域における状況に対処するためには、現地の人々のレジリエンスを強化するための一連の行動を実施する必要があります。日本は第7回アフリカ開発会議(TICAD7)においてアフリカの平和と安定に向けた新たなアプローチ(NAPSA)を旗印に、アフリカにおける安定と平和のために行動することをすでに約束しています。この日本によるアプローチは、アフリカにおける紛争やテロの根本的な原因を特定し、とりわけアフリカ諸国の制度やガバナンスの強化について、各国のオーナーシップを尊重しながら支援することを目指しています。日本はサヘル地域における様々な人道上の課題、開発に関する課題に取り組むための支援を継続していきます」と語りました。

UNDPブルキナファソ事務所のイザベル・ツチャン常駐代表代理は、「アフリカの国境コミュニティは、COVID-19、紛争の長期化、気候変動に関連する災害という3つの脅威に直面しており、特に農家や遊牧民が影響を受けています。日本の貢献は、UNDPによる支援と合わせ、レジリエンスとCOVID-19後の社会経済的復興に向けて3か国の政府が現在進めている取り組みを後押しするものです。本プロジェクトでは、特に若者や和平のアクターとしての女性のエンパワーメントを重視しており、特に女性や若者が主導する組織を実施パートナーとして選んでいきます」と述べました。

ツチャン常駐代表代理は、UNDPと日本政府によるパートナーシップの成功、マリ、ニジェール、ブルキナファソ政府との信頼や良好な協力関係を歓迎するとともに、リプタコ・グルマ地域集中開発機構に対し、UNDPとのパートナーシップや、国境貿易と対話において果たしている主要な役割について感謝しました。

男性の商人と比較すると、女性の商人は最も脆弱な集団に含まれており、正式ではない税金の支払いから言葉による嫌がらせやセクシャルハラスメント、虐待に至るまで、国境貿易活動に関連する制約を不釣り合いなほどに被っています。国境地域におけるこのような課題に対処するためには、社会経済的発展、安定化、平和構築をシームレスに統合する相乗効果をもたらすアプローチが必要となります。

ブルキナファソのセイドゥ・イルブロ商務工業工芸大臣は、マリ・ニジェール両政府に代わって日本政府に対し謝意を表明しました。イルブロ大臣は、1年間にわたる同プロジェクトは、3か国の政府によるレジリエンス構築、COVID-19からの社会経済的復興の促進や紛争軽減支援に関する取り組みを後押しするだろうと述べました。

イルブロ大臣は「リプタコ・グルマの国境地域では、ブルキナファソ、マリ、ニジェール3か国の人々が情勢不安に苦しんでいます。自らの土地に愛着を抱いているにもかかわらず、その多くが強制避難を余儀なくされ、食料不安、学校の閉鎖、清潔な水資源を得るのに苦労するといった困難が生じています」と説明しました。

「平和の定着のための国境貿易」プロジェクトは、リプタコ・グルマ地域のコミュニティに対する経済的、社会的、治安的な影響の緩和を目指すための取り組みの1つです。

開始式には、ブルキナファソ、マリ、ニジェール各政府、リプタコ・グルマ地域集中開発機構、日本大使館、UNDPのハイレベル代表が出席しました。


詳細については、以下 にお問い合わせください。
電話:+226 75 87 00 18、Email:mahamadi.ouedraogo@undp.org

原文(英語)は2021年5月3日に掲載されました。