UNDPアクセラレーターラボと横浜市が連携し、マラウイにおける持続可能な廃棄物管理に向けての知見と経験を共有

2021年5月11日

2021年3月24日、国連開発計画(UNDP)マラウイのアクセラレーター・ラボ(AccLab Malawi)は、横浜市と共同で、日本の地方自治体とマラウイの市議会を結んだウェビナーを開催し、都市における包括的な廃棄物管理システムの開発方法や、市民参加による持続可能な廃棄物管理戦略について専門的な意見交換を行いました。マラウイの官民両セクターから約60名が参加したこのウェビナーでは、横浜市の廃棄物管理システムの開発の歴史、技術、知識が紹介されました。マラウイでは、効果的な廃棄物管理システムの開発が持続可能な開発の実現に向けた最優先課題となっています。同国では、廃棄物管理に関して以下のような課題を抱えています。市議会が管理できている廃棄物はわずか12%であり、一部の都市では民間の廃棄物収集業者が残りの廃棄物管理を担っています。さらに、廃棄物排出者(家庭、施設)、廃棄物収集業者、廃棄物から製品を製造して販売するリサイクル業者の間での廃棄物の調整が不十分であることが、状況を悪化させています。

新たな課題への解決策を見つけるにあたって、「水と衛生がSDGsと「マラウイ2063」構想の重要な要素です。廃棄物管理には、廃棄物の削減だけでなく、廃棄物のリユース・リサイクルも含まれます。簡単に言うと、無駄なものはありません。横浜市の協力のもとで、マラウイの人々の生活にとって重要なこうした問題に対して、私たちのチームとマラウイの友人たちが共に活動していることを、私は大変うれしく思います。」と、UNDPマラウイの小松原茂樹常駐代表は語りました。

UNDPアクセラレーター・ラボ・マラウイ(AccLab Malawi)は、日本の内閣府の支援を受けた「Japan SDGs Innovation Challenge for UNDP Accelerator Labs」を実施するために、循環型経済に取り組む他の4つのラボとともに選出された、アフリカで唯一のラボです。このイノベーションチャレンジ事業によって、アクセラレーター・ラボと日本のパートナー自治体、民間企業、学界の協力が可能になりました。この事業におけるマラウイの日本メインパートナーには、アフリカ開発会議(TICAD)の長年の開催地である横浜市が選出されました。現在のパートナーシップは、UNDPと日本の長年にわたるパートナーシップに加え、マラウイの首都リロングウェ市の水システム管理の改善のために、横浜市が国際協力機構(JICA)を通じてリロングウェ水公社に支援を提供したことによるものです。

マラウイ共和国のMinistry of Forestry and Natural ResourcesのDeputy DirectorであるShamiso Najira氏は、ウェビナーの開会の挨拶で、「マラウイの主要都市は、都市人口の急増や公共サービスの提供に利用できる資源の不足による廃棄物の蓄積が問題となっています。」と述べました。

2つのセッションで構成されたこのウェビナーでは、横浜市の代表者が、市の発足以来行ってきた主要な活動や取り組みをいくつか紹介しました。第一セッションでは、横浜市の発展と廃棄物管理の歴史(Development of Yokohama City and the History of Waste Management)についての説明が行われました。急速な都市化と人口増加が要因となり、横浜市は廃棄物量の急増という問題を抱えました。特に、日本が爆発的な経済成長を遂げた1970年代は、「大量消費時代」と呼ばれました。

こうした状況を背景に、横浜市はごみ処理施設の整備と収集体制の拡充に取組むとともに、市民の協力を求めました。さらに、1980年代から現在に至るまで、横浜市は3R(リデュース、リユース、リサイクル)の促進のために、市民の参加を積極的に呼びかけてきました。

第二セッションでは、Waste Management in the City of Yokohama が紹介されました。横浜市は発生源での分別、特に家庭でのごみの分別が重要であると強調し、同市では10分別15品目が定められていることをウェビナーで紹介しました。また、効果的な廃棄物管理システムの構築に向けて、家庭ごみを適切に分類するように住民の意識を向上させるには、広報啓発が不可欠であるとも述べました。同市には埋立処分場や焼却場もありますが、ソフトとハードの両面から廃棄物管理問題に取り組み、システムアプローチを徹底したことが、廃棄物量と廃棄物管理コストの削減につながりました。2つのセッションの中で、横浜市はマラウイの参加者たちから寄せられた30を超える質問に答えました。

ウェビナー終了後、参加者からは「横浜G30プランや3R政策の採用が廃棄物や埋立廃棄物量の削減につながったことに驚きました。住民に分別を教育することは非常に有効です。」という感想が聞かれました。

「横浜市が現在のマラウイの各市と同じような軌跡を辿ったことを知り、とても勉強になりました。廃棄物に関する計画の策定にコミュニティがいかに関与し、それによって条例の実施がいかに強化されたかついて、とても興味深い見識が得られました。私たちは今ある資産の中で廃棄物管理ソリューションをいくつか試しますが、今後もさらなるご協力を期待しています。」と、UNDPマラウイのHead of ExplorationであるWasili Mfungwe氏は述べました。

Acclab Malawiは、マラウイの廃棄物管理、特に発生源での廃棄物の分別にコミュニティや家庭を巻き込む「City Master Planning and Recycling and Waste Collection」の課題解決に向けて協力し合うようにステークホルダーと議論を継続します。