人間開発報告書室、2021年における「人間の安全保障」のあり方を再考

2021年5月20日

Photo: UNDP

不安定化する世界は、気候変動や生物多様性の損失といった地球規模の圧力に関連するリスクに直面しています。その影響は人間開発における様々な格差とも重なり、社会は試練にさらされています。

新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の世界的まん延は、その最たる例です。UNDP人間開発報告書室では、今年、新たな時代の「人間の安全保障」のあり方を再考し、いかにしてこうした課題を理解し、対処につなげることができるか検討します。 このため、この度、UNDPは人間の安全保障に関する特別報告書ハイレベル諮問パネル(High-Level Advisory Panel, 略称HLAP)を設置します。

当パネルは、武見敬三氏(参議院議員)とラウラ・チンチージャ氏(元コスタリカ大統領)を共同議長とし、著名な有識者が個人の資格で参加する独立したグループです。

UNDP人間開発報告書室は、「人間開発報告書」とは別に特別報告書を発行予定で、同パネルはこれに関し助言を行います。

本パネルでは、人間の安全保障の概念を初めて組み込んだ1994年の「人間開発報告書」と、緒方貞子元国連難民高等弁務官とアマルティア・セン教授による「人間の安全保障の今日的課題」と題する報告書を礎として、現代において「freedom from want and freedom from fear(欠乏からの自由、恐怖からの自由)」が意味するものを探ります。

2021年6月8日から11日には人間の安全保障に関するシンポジウムを開催予定です。


オンライン・シンポジウム(6月8日-11日)

当シンポジウムでは、最近注目を集めている諸問題、特に「持続可能な開発のための2030アジェンダ」以降も続くと予想される以下の課題について議論を行います。

  1. 人間の安全保障への脅威の構造的変化:人新世やデジタル技術の利用拡大の下で出現した脅威
  2. 暴力的紛争に関連する人間の安全保障への脅威:国家内及び対人間における新しい形態の暴力を背景として
  3. 人間開発への脅威としての人間の安全保障の欠如:経済不安、健康不安、家庭内暴力、多面的な不平等、差別、両極化などの現れ
  4. 今後の展望〜困難な時代における新たな願望と対応〜:人間の安全保障の概念を再考し、21世紀における人々の願望を満たすため取りうる政策対応を中心に

基調講演者(予定)

  • アン・マリー・スローター New America CEO、Bert G. Kerstetter '66大学 政治・国際関係学 名誉教授
  • メアリー・カルドー ロンドン政治経済学院 グローバル・ガバナンス研究センター所長・名誉教授/紛争研究コース・ディレクター
  • フランシス・スチュワート オックスフォード大学 開発経済学 名誉教授
  • ジェームズ・フォスター ジョージ・ワシントン大学 経済・国際関係学 教授
 

また、「人間の安全保障」の意味について、簡単なアンケート(英語)を実施しています。こちらから参加できますので是非ご意見をお聞かせください。また、是非周りの方にも共有をお願いします。一人一人の声が重要です。