UNDP、債券発行者向けSDGインパクト基準を発表

SDGインパクト基準は中国銀行間債券市場での新開発銀行(NDB)によるSDG債の発行で試験的に市場運用開始

2021年4月1日

SDGインパクト基準は、プライベート・エクイティ・ファンド(未上場株式ファンド、またはPEファンド)や債券発行者、事業者がSDGs達成に向けた取り組みを加速する際、社内意思決定プロセスにインパクト管理を取り入れるための社内実践基準 写真:国連

ニューヨーク – 国連開発計画(UNDP)は、2回のパブリックコメント手続きを経て、債券発行者向けSDGインパクト基準(バージョン1.0)を発表しました。SDGインパクト基準は、2030年までにSDGsを達成するための道筋を示し、消費や雇用、ビジネス、投資に関するあらゆる意思決定の中心にインパクトを据えようとするものです。

UNDPは同時に、事業向けSDGインパクト基準に関するパブリックコメント(最終回)を開始しました(2021年3月31日から5月にかけて実施)。事業向け基準のバージョン1.0は2021年6月30日までに発表予定です。事業者と投資家のほか、市民社会やアナリスト、金融仲介機関、アシュアランス提供者、政策立案者を含め、あらゆる関係者からのコメントを募集しています。

SDGインパクト基準は3月、すでに中国銀行間債券市場での新開発銀行(NDB)によるSDG債の発行で、市場での試験的運用を開始しています。

UNDP金融セクター・ハブのディレクターを務めるマルコス・ネト氏は「喜ばしいことに、パプリックコメントでは、本基準がSDGsの達成に向け資金を供給する上で重要な役割を果たすと認識する回答が圧倒的に多く見られました。NDBは、本基準、及びUNDPが策定したSDGファイナンス・タクソノミー(中国)を活用し、50億人民元相当のSDG債の発行を発表しました。債券発行者がすでに、基準の試験的運用を行っていることを誇りに思います」と語っています。

企業と投資家は、持続可能な開発が長期的な価値創造の中核であるということを強く認識するようになっているものの、意思決定の過程にサステナビリティやインパクトを体系的に組み込むまでには至っていません。SDGインパクトは本基準を通じ、このプロセスを容易にすることを目指しています。

UNDPでSDGインパクトのディレクターを務めるファビエンヌ・ミショー氏は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)や、気候変動や生物多様性などの長期的動向を見るにつけ、将来の社会、環境、経済に対する影響が密接に絡み合っているということがよりはっきりしてきました。インパクト管理と、SDGsに沿った持続可能な開発の前進は、さらに重要性と緊急性を増しています」と語りました。

現在、ガイダンスや用語集、アシュアランス実施要綱、資本・投資分野のさまざまな関係者を対象とする研修など、SDGインパクトの補足的なツールを開発中です。UNDPは、公的資本を活用する民間のパートナー組織のために、OECDと連携し、持続可能な開発資金のためのインパクト基準(IS-FSD)も策定しています。

SDGインパクトについてさらに詳しくは、SDGインパクトのウェブサイトをご覧になるか、sdgimpact.standards@undp.orgまでメールでお問い合わせください。

SDGインパクトについて

SDGインパクトはUNDPによる画期的な取り組みで、主な役割は、政府や事業者、投資家と密接に関わり、ビジネスと投資に関する意思決定にSDGsを全面的に組み込むための手助けをするとともに、最も必要とされるところに資本を誘導することです。相互に関連する以下の3つの柱を通じ、2030年までにSDGsの達成を目指して投資を促進しています。

  • SDGインパクト管理:プライベート・エクイティファンド、債券発行者および事業者向けの3つのSDGインパクト基準、及びアシュアランス枠組みとSDGインパクト認証、インパクト管理研修など
  • SDGインパクト知見情報:投資可能な機会領域とビジネスモデルをオンライン・プラットフォームで検索できるSDG投資家マップなど
  • SDGインパクト促進:UNDPが170以上の国・地域に有する活動拠点、持続可能な開発に関する深い専門知識、各国政府やその他のインフルエンサーとの関係を活用し、投資家の集いや政策対話を開催

全世界で170以上の国・地域に拠点を有する国連開発計画(UNDP)は、国連常駐調整官や国連国別チームを支援し、SDGs達成に向けた取り組みの加速を図っています。