国連開発計画とシティ・ファウンデーション 社会変革を目指す若者向け起業支援活動「Youth Co:Lab Japan 2021」を開催

2021年12月10日

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国連開発計画(UNDP)とシティ・ファウンデーションは、若者による持続可能な開発目標(SDGs)達成に貢献する社会革新や起業を支援する活動「Youth Co:Lab(ユース・コーラボ)」を今年も実施しました。

2021年のプログラムは、学生を含む若手と女性社会起業家に焦点を当て、トークイベント「日本ダイアローグ」とSDGs起業家コンテスト「ソーシャル・イノベーション・チャレンジ日本大会2021」の2部構成で開催しました。新型コロナウイルスの影響により、当たり前だと思われてきた常識が急変し、新しい生活様式、働き方、価値観が生まれてきました。また、SDGs達成へ向けた機運が高まる中、多様性や共生がさらに重視されるようになり、「誰一人取り残さない」社会を作るための取り組みが求められています。ユース・コーラボでは、若者による社会革新への取り組みはSDGs達成に不可欠と捉え、政府や市民社会、民間を含む起業家エコシステムの拡充と、若者の社会・環境課題解決に向けた革新的なビジネスアイディア実践の支援に取り組んでいます。

9月に開催した「日本ダイアローグ」第1弾では「変化の時代を切り拓く 若手・女性社会起業家に注目!」と題して、現役大学生を含む3名の若手・女性社会起業家とESG重視投資家を招き、パネルトークを行いました。

登壇者には、日本初ESG重視型ベンチャーキャピタル・ファンドMPower Partners鈴木絵里子氏をモデレーターとして迎え、現役大学生でNPO法人 あなたのいばしょ理事長の大空幸星氏、ロボット開発を通し雇用機会の不均衡や経済格差などの社会課題の低減に挑戦している株式会社キビテクCEOの林摩梨花氏、京都府与謝野町の地域課題解決に取り組む株式会社ローカルフラッグを大学在学中に立ち上げた濱田祐太氏が、社会起業立ち上げの動機や可能性、課題、社会起業の今後などについて熱く語りました。

11月に開催した第2弾では、「若者・女性の社会起業のリアルと希望」と題し、特に若手・女性社会起業家が生まれ育つエコシステムの拡充について、社会起業家と支援団体の担当者が各々の取り組みと実体験を共有しました。

若手社会起業家代表としては、コンゴ民主共和国でアパレルブランド「Ay」を立ち上げ、群馬県伊勢崎市でアップサイクルに取り組む大学生・女性社会起業家の村上采氏と、シェアリングエコノミーと傘をつなげた社会事業を展開するアイカサ丸川照司氏が登壇。起業支援団体側は、経済産業省・経済産業政策局経済社会政策室で「わたしの起業応援団」を立ち上げた田中智子氏と、インパクト投資や社会起業家支援を行う社会変革推進財団(SIIF)工藤七子氏がそれぞれの取り組みと思いを語りました。モデレーターには、SDGs教育をミッションに掲げるWORLD ROAD共同代表の平原依文氏を迎えました。

11月25日に開催した「ソーシャル・イノベーション・チャレンジ日本大会2021」では、初めて高校生の応募も受け付けました。全国および海外から78組の応募があり、1次審査、2次審査を通過した9組がファイナリストとしてオンライン視聴者約200名の観客と審査員に向けてビジネスアイディアを披露しました。様々な角度からSDGsへの達成に貢献するビジネスアイディアの中から、以下6組の皆さんが「ソーシャル・イノベーション・チャレンジ日本大会2021」の受賞者に選ばれました。

  • 最優秀賞
    「新しい⺠主主義のプラットフォームの実装で『一人一人が影響力を発揮できる社会』を(株式会社Liquitous 栗本拓幸氏)
  • アイディア賞
    「“フィッシュレザー”海の恵みを無駄にしない持続可能なものづくり」(tototo 野口 朋寿氏)
  • スケーラビリティ(汎用性)賞&CVC賞
    「気候変動時代に実現する海水農業技術」(Cultivera LLC 豊永翔平氏)
  • CVC賞
    「eye for three 目薬ボトルから生まれ変わったサングラスと眼鏡 〜日本人と世界の貧困層の目を守る〜」(アイフォースリー合同会社 長岡里奈氏)
  • 観客賞
    「Sustainableな昆虫食を使った流動食・経腸用液」(小野克樹氏)
  • 審査員特別賞
    「愛を持って社会に突っ込む同世代を増やす仕組み」(Sustainable Game 山口由人氏)

最優秀賞に選ばれた株式会社Liquitousの栗本拓幸氏は次のように話しています。「この度は、最優秀賞をいただき大変光栄です。国内でも電子行政やオープンガバナンスに向けた動きが加速する中、今回の受賞は、Liquitousが民主主義に基づくガバナンスのアップデートに向けてチャレンジし続けることに対する期待だと受け止めています」

9組のファイナリスト皆さんは、日本を含め28のアジア太平洋地域の国と地域におけるユース・コーラボの選抜チームとともに、2022年1月から始まるアクセラレーター・プログラム「スプリングボード・プログラム」(研修)に参加します。さらに同プログラムで成果を上げた上位チームが、日本代表として、アジア太平洋サミットで事業を紹介します。

国連開発計画(UNDP)駐日代表の近藤哲生は、「コロナ禍により、社会の変化が加速され、新しいビジネスチャンスや価値が生まれています。一歩先を目指す復興のためには、よりイノベーティブ(革新的)なアイディアが必要となっており、そのためには多様な人が一緒になって共に協力していくことが鍵となります。学生を含む若い世代や女性の声を社会に活かすことは一層必要となっており、社会の変化やテクノロジーの進化は、その後押しともなり得ると考えます。UNDPでは、『若者は将来リーダーになるから支援するのではなく、今すでにリーダーだから協働するのだ。』と考えています。UNDPとシティ・ファウンデーションは、これからも若者の可能性と実力を信じ、SDGsの達成に貢献する若者主導の社会革新や起業を支援していきます」と述べています。

シティグループ日本代表のリー・ウェイトは次のように述べています。「シティ・ファウンデーションは、世界中の雇用機会を生み出すことを目的に、若者の職業訓練や起業のサポートを行う『パスウェイ・トゥ・プログレス』という取り組みに力を入れています。この取り組みの一環として、日本で3年目となるユース・コーラボを実現できたことを嬉しく思います。新型コロナウイルスの影響により、雇用環境の悪化など様々な社会課題が浮き彫りになるなか、社会起業に挑む多くの若者や若手起業家のリーダーシップと実践力に期待すると共に、大変心強く思っています。引き続き、投資家、政策決定者、NGOなど関係者と対話を重ね、社会起業育成のエコシステムの更なる強化に取り組んでまいります。」