UNDP、モルドバでの支援を拡大

長引く戦争で数千人もが貧困に陥るとの初期予測も

2022年3月25日

Photo: Ion Buga/UNDP Moldova

国連開発計画(UNDP)が発表した初期予測によると、ウクライナで戦争が長引いた場合、隣国モルドバがこれまでに達成してきた社会・経済面での開発が帳消しになる可能性があります。このデータによると、モルドバでは、ウクライナでの紛争や関連する危機の影響により、今後12カ月以内に人口の30%以上が貧困ライン以下の生活となり、さらに54%が、貧困に陥るリスクが高い状況にさらされる可能性があります。

UNDPモルドバ共和国常駐代表のディマ・アルカティブは以下のように述べます。

「ウクライナ戦争の経済的影響は地域全体に及び、今後数ヶ月の間に何百万人もの人々が緊急の支援を必要とすることになるでしょう。モルドバでは、暴力から逃れた人々の膨大なニーズに応えるため、また難民を受け入れる側のコミュニティにも確実に支援を提供するため、活動の規模を拡大し続けています。しかし、これ以上の人道的被害と地域経済の崩壊を防ぐには、戦争を終結させる必要があります。この地域の人々にとっては、貧困への転落を防ぐために、今すぐ平和が必要です。」

モルドバの潜在的な経済危機の主な要因としては、ウクライナやロシア連邦との密接な経済関係、深刻化するエネルギー危機、大人数の難民の影響などがあげられます。同国ではすでにその影響が出始めており、戦争が続けば悪化することが予想されます。

モルドバにおけるニーズを特定するために、UNDPは同国で活動する中小企業に対するバリューチェーンの混乱状況の影響分析を実施する予定です。また、この危機が家庭に与える影響を分析するための経済所得シミュレーションと共に、家庭に必要な支援を特定するための評価も行います。

UNDPはモルドバ共和国政府との信頼で結ばれた長年のパートナーシップに基づき、暴力を逃れて同国に避難してきたウクライナの 人々を緊急に支援しています。モルドバで活動する国連システムの一員として、UNDPは地元コミュニティや当局と協力し、難民に対する宿泊施設や緊急衛生キット、食料などの基本的物資を提供しています。また、女性と子どもへの緊急支援を中心に、緊急のニーズに対応するため、避難所へのさらなる支援を行っています。今後UNDPは、雇用機会の推進、公共サービスへのアクセス拡大、そして受け入れコミュ二ティにおける社会的共生の実現を通して、難民の社会・経済的統合を促進していく予定です。

複数機関が合同で取り組む地域難民支援計画(Regional Refugee Response Plan)を支えるため、UNDPは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と協力し、暴力から逃れた数百万人の難民のために、回復力と開発に焦点を当てた活動に邁進していきます。難民と、難民を受け入れているホストコミュニティに対するこの包括的な合同支援策は、社会的共生に基づき、所得創出と雇用を柱とする生活支援に重点を置くことになります。